九州生まれのバター特集です。
醤油バター・焦がしバター・ガーリックバター・・・バターを使うと料理はいきなりレストランの味になりますね。
生乳から作るバターは、乳牛の命の恵みです。
豊富な栄養をふくみながら「なまもの」なだけに、生産調整などがあると安定供給されなくなるバターにスポットを当てました。
バターの栄養価・ヨーロッパの伝統的な製法・5種類の九州バターについてご紹介します。
九州産の生乳だけを使った九州バターの代表格は「高千穂」「みどり」「くまモン」「ふくおか県酪」「種子島」です。
バターの栄養価はさすがバター
バターの主成分は乳脂肪です。
8割が乳脂肪ですので、胃もたれしやすいイメージがあるかもしれませんね。
しかし、食用油脂の中で最も消化に良いのがバターなのです。
また、ビタミンA・D・Eが豊富に含まれています。なかでも抗酸化作用のあるビタミンAは、牛乳の13倍以上です。
消化機能が衰え、栄養がじゅうぶんにとれないとき、ひとさじのバターが役立ちます。
バターの栄養(100gあたり)
有塩バター | 食塩不使用バター | |
エネルギー | 700Kcal | 720Kcal |
水分 | 16.2g | 15.8g |
たんぱく質 | 0.6g | 0.5g |
脂質 | 81.0g | 83.0g |
炭水化物 | 0.2g | 0.2g |
カルシウム | 15mg | 14mg |
ビタミンA(レチノール活性当量) | 520μg | 790μg |
ビタミンB1 | 0.01mg | 0.00mg |
ビタミンB2 | 0.03mg | 0.03mg |
ビタミンD | 0.6μg | 0.7μg |
ビタミンE(α-トリフェロール) | 1.5mg | 1.4mg |
食塩相当量 | 1.9g | 0.0g |
九州産生乳100%使用「高千穂バター」
九州のバターの中でも知名度の高い高千穂バターは、デーリィの名で親しまれている南日本酪農協同株式会社のバターです。
「デーリィ牛乳」は南九州では牛乳の代名詞。南九州の牧場で育てた牛乳だけしか使わない、地元に根付いた企業として知られています。
〇会社名… 南日本酪農協同株式会社
〇本社所在地…宮崎県都城市姫城町32街区3号
炭酸飲料「スコール」や乳酸菌飲料「ヨーグルッペ」も、九州ではおなじみの同社看板商品の一つです。
こちらでは、2種類の「高千穂バター」をご紹介します。
加塩バター
九州産生乳100%使用のテーブル用加塩バターです。食塩不使用バターは業務用中心になっています。
私は高千穂の加塩バターや発酵バターを店頭で購入していますが、九州内のスーパーでもめったに見かけることがありません。なぜでしょうか。
200gのバターを作るために必要な生乳は、約4.2〜4.4Lです。バターの乳脂肪は約80%ですが、生乳は4%弱。
バターを作るためには約20倍の生乳が必要ですので、九州産の生乳だけで作るバターの量に限りがあるのは無理もない話ですね。
発酵バター
高千穂の発酵バターは、「マツコの知らない世界」でも取り上げられて話題を集めました。サワークリームのような風味と特有の香りをもつバターといえばいいでしょうか。
発酵バターとは、原料のクリームに乳酸菌を加えてゆっくりと発酵させたバターのことです。
その昔、ヨーロッパでバターが生まれたころは、今と違って殺菌技術もなく、バターづくりにも時間がかかっていました。
そのため、バターづくりの過程で自然に発酵することが多く、発酵バターが定着したといわれています。
日本に入ってきたのは近代的なバターですが、ヨーロッパでは主流の発酵バターの風味が人気を集めるようになりました。
チャーン製法のバター
高千穂の発酵バターは、ヨーロッパの伝統的な製造法「チャーン製法」によって作られています。
かつてヨーロッパでは、木製のバターチャーンという回転機器で生クリームを攪拌(かくはん)させてバターづくりをしていました。
手作りバターを作るときに、ペットボトルに生クリームを入れて激しく振ると水分(ホエー)と固形物(バター)に分離しますね。仕組みは同じです。
19世紀には、ステンレス製のチャーンが機械化され、現在では多くのバターが「連続式バターマシン」によって大量生産されています。
一方、チャーン製法では一度に投入できる生乳の量が決まっているため大量生産できません。
高千穂の発酵バターは、厳選した乳酸菌と九州産生乳を特別な金属製の容器に入れて、バッチ式メタルチャーン製法で作られています。
昔ながらのたいへん手間のかかる製造法で作り上げたバターです。
なお、一般的なバッチ式と連続式の違いについては、アルミエース株式会社さんのサイトより引用させていただきました。
アルミニウムに限らず、熱処理を行う場合には、「バッチ式」と言われるものと「連続式」と言われるものがあります。
連続式は、ベルトコンベアーなどの上に製品を置き、製品が炉の中を通過しながら加熱される炉です。連続式の炉の場合は常に同じ温度で同じ時間に設定されますので、一種類の製品を大量に処理する場合に向いています。
バッチ式というのは、ひとつのカゴなどに製品をいれて熱処理を行う方法です。熱処理をするたびにフタをあけて製品を取り出すため、炉内温度が下がったりと効率は良くないのですが、毎回違う温度、時間に設定する事が可能な為多品種の熱処理に向いています。
また熱処理用の治具にも、色々と工夫して最適な詰め方にする自由さもあります。
アルミエース株式会社
高千穂バター・高千穂発酵バターの購入先
九州産高千穂バター・高千穂発酵バターは、店頭購入が難しいためお取り寄せ先をご紹介します。
〇自社オンラインショップで購入
〇宮崎県都城市ふるさと納税の返礼品
・高千穂バター 200g×1個
・高千穂発酵バター 200g×2個
・霧島山麓牛乳 200ml×4本
・ヨーグルッペ 200ml×4本
・高千穂バター:200g×4個
・高千穂発酵バター:200g×1個
・霧島山麓牛乳:1000ml×1本
・霧島山麓牛乳:200ml×3本
九州産生乳100%使用「みどりバター」
みどりバターは、大分をはじめ九州産生乳だけを使って作られています。
「みどり牛乳」などのみどりブランドで有名な九州乳業株式会社のバターです。
〇会社名… 九州乳業株式会社
〇本社所在地…大分県大分市大字廻栖野3231番地
みどりバターは幻のバターといわれるほど、店頭にはほとんど出回らないバター。九州在住の私も店舗で購入した記憶がありません。
また、みどりバターも高千穂発酵バターのように、ヨーロッパ伝統のチャーン製法で作られています。
みどりバターも、機械だけに頼らず人の手をかけて作られるバター、しかも地元九州の生乳だけを使用したバターです。
やはり大量生産できません。
みどりバターの購入先
みどりバターは、九州乳業オンラインショップでは販売がありません。
入手法としては、大分市のふるさと納税を活用する方法と、大手ネットショップで購入する方法の二つになります。
〇大分市のふるさと納税返礼品
①寄附金額:11,000円の返礼品として
・みどりバター 225g×5個(楽天ふるさと納税)〇Amazonのみどりバター
・みどりバター 225g×5個(Amazon)熊本県産生乳100%使用「くまモンのバター」
九州の中でも熊本県産の生乳だけを使ったくまモンのバターは、くまモン同様、大人気の弘乳舎のバターです。
弘乳舎は明治16年(1883年)創業の乳製品の老舗です。
店頭で幸運にも弘乳舎のアイスクリームを見つけると、心躍ります。
弘乳舎という名前からしていかにも美味しく、そして本当に美味しい乳製品の会社です。
〇会社名… 株式会社弘乳舎
〇本社所在地…熊本県熊本市北区高平3丁目43番2号
弘乳舎のバターもまたチャーン製法で作られています。
風味はもちろんいうことなしですが、赤いパッケージにくまモンというデザインもインパクト抜群です。
くまモンのバターの購入先
くまモンのバターを、最後に買ったのは熊本県南阿蘇村久木野にある道の駅「あそ望の郷くぎの」でした。
九州でもスーパー等の店頭はもちろん、一般の通販でも購入は困難です。
くまモンのバターの購入先は、弘乳舎のオンラインショップ・熊本県物産振興会のオンラインショップの二つです。
しかし現状では、弘乳舎のバターは弘乳舎のオンラインショップであっても、毎月行われる抽選販売での購入に限られています。抽選の競争率も高いバターです。
熊本県物産振興会のオンラインショップも数に限りがあると思われます。
弘乳舎さんのサイトには、【バター販売に関するお詫びとお礼】というメッセージが掲載されています。
弘乳舎さんには何の非もないのですが。乳製品を巡る厳しい状況のなか、心から応援したい九州熊本の企業です。
福岡県産生乳100%使用「ふくおか県酪バター」
ふくおか県酪バターは、九州福岡県産の生乳だけを使ったバターです。
ふくおか県酪(ふくおか県酪農業協同組合)は、酪農専門の農業協同組合。福岡県内の酪農家組合員によって設立されました。
酪農家と消費者をつなぐ働きをする組合ですね。
〇組合名…ふくおか県酪農業協同組合
〇所在地…本所:福岡市博多区博多駅前4丁目32-18
酪農家の方にとっては、自ら育てた乳牛から製品が生まれることを実感でき、福岡県の消費者は新鮮な地元の乳製品を店頭で購入することができます。
ふくおか県酪バターは、組合オリジナル商品。福岡県産生乳100%のバターを安定して生産・販売できるのは組合の強みですね。
ふくおか県酪バターの購入先
ふくおか県酪バターは、福岡県内の組合や取扱店舗(道の駅久留米・Aコープ須恵・Aコープ荒木・Aコープ柳川)で購入できます。
通販での購入先は、JAタウン・楽天市場(福岡県よかもんショップ)の二つです。
〇JAタウン(福岡県博多うまかショップ)で購入
〇楽天市場(福岡県よかもんショップ)で購入
・ふくおか県酪バター200g×6個入り種子島産生乳100%使用「種子島バター」
九州の種子島といえば、鉄砲伝来・ロケット基地だけではありません。
なんと、鉄砲と共にホルスタイン種の乳牛も入ってきたといわれています。
最後にご紹介するのは、種子島産生乳を100%使った種子島バターです。
小さな島ですが、山がちな屋久島と違って平地の多い種子島は昔から酪農の盛んな土地。九州でも最大規模の牧場があります。
種子島バターは、種子島産の生乳をデーリィの工場に集約して、商品化したものです。
〇製造者…南日本酪農協同株式会社(都城工場)
〇販売者…金久牛乳販売店(鹿児島県西之表市)
北海道のバターに肩を並べる九州の南の島のバター!
北から南まで営々と続いている日本の酪農の底力を見る思いがします。
種子島バターの購入先
種子島バターは西之表市(にしのおもて市)のふるさと納税の返礼品として戴くことができます。
〇西之表市ふるさと納税返礼品
①寄附金額:12,000の返礼品として
・種子島バター 200g×6箱(楽天ふるさと納税)九州産バターで料理にコクと旨味を
九州には地元の生乳で作られたバターがあります。
現状では大量生産できず、数に限りがありますが、いずれ劣らぬ美味しいバターです。
加塩バターは冷蔵庫で日持ちしますので、備蓄品の仲間に入れていただき、ぜひ一度ご賞味ください。
・九州産生乳100%使用「高千穂バター」
・九州産生乳100%使用「みどりバター」
・熊本県産生乳100%使用「くまモンのバター」
・福岡県産生乳100%使用「ふくおか県酪バター」
・種子島産生乳100%使用「種子島バター」
時代の荒波の中で乳牛を守り続けている酪農家の方々に感謝と敬意をこめて。
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