沖縄の豆腐ようは、豆腐なのにまるでチーズのようです。
しかも常温で5か月は保存できます。
奈良漬・松浦漬・かぶら寿司などがお好きな方は、十中八九やみつきになる味です。
豆腐ようの作り方・食べ方・おすすめのメーカーをご紹介しますので、どうぞ一度ご試食ください。
沖縄の発酵食品「豆腐よう」とは
豆腐ようは沖縄に伝わる発酵食品です。
豆腐を米麹・紅麹・泡盛などに漬け込み、発酵・熟成させて作ります。
発酵食といえば、①旨味がある②栄養がある③日持ちがする、ですよね。
豆腐ようもまさにその通り。
さらに、泡盛を使いますので、アルコール度数が奈良漬よりかなり高いです。
豆腐ようの元祖は中国の腐乳
豆腐ようは、中国の伝統食材「豆腐乳」[dòufurǔ]がルーツであるといわれています。
(※豆腐乳は腐乳ともいう)
次の違いをのぞけば、製造法は同じです。
豆腐乳が豆腐にカビ付けをして塩漬けにするのに対して、豆腐ようはカビ付けせず泡盛で熟成させます。
塩も酒も、発酵食を作る際に雑菌の繁殖を防いでくれる食材です。
沖縄にはとびきりアルコール度数の高い泡盛があるのですから、これを使わない手はありませんね。
しかも、泡盛を使うことによって、豆腐ようには独特の旨味が生まれています。
豆腐ようの名前の由来
中国では、豆腐乳(腐乳)の呼び方は一つではありません。
広い中国には言語も複数ありますので、地方によって豆腐乳の呼び方も異なります。
北京では[tufu-ru・furu・rufu・tou-m]など)、広東では[fuyu・funan]、上海では[sufu,・ou-sufu]だそうです。
「乳」は、北京語では[ru]ですが、広東語では[yu]ですので、豆腐ようの「ヨウ」は広東語に近いですね。
このことから、広東語の「ユウ」の発音が転化して「ヨウ」となり、「トウフヨウ」になったのではないかという説があります。
豆腐ようを漢字で書くと
豆腐ようの「よう」には、「餻」の字が当てられています。
尚順男爵(最後の琉球国王尚泰の子息)が、この字を当てて以来、慣用的に使われるようになったそうです。
中国語で「餻」は[gāo]と発音します。
米粉や小麦粉を捏ねて蒸した食べ物のことです。
発音も意味も本来の「乳」とは異なります。
しかし漢字の作りの部分に「羊」が含まれていますので、日本語では「ヨウ」と読みやすいと思います。
大陸から日本に漢字がとり入れられて以来、意味も形も読み方もだいぶ変わってしまいましたので、字を当てるのは難しいですね。
今では「豆腐よう」と平仮名表記されるのが一般的です。
[参考資料:「豆腐ようと紅麹」(琉球大学 安田正昭氏)]
豆腐ようの作り方
豆腐ようは、手作りすることもできます。
おおまかな工程は、「漬け汁を作る → 豆腐を切って乾燥させる → 乾燥豆腐を漬け込み熟成させる」というものです。
手軽に時短で作るレシピや沖縄栄養士会監修のレシピも公開されています。
こちらでは「豆腐ようと紅麹」(安田正昭氏)の解説をもとに、作り方の例をご紹介しますね。
〇漬け汁の作り方
1.麹(紅麹・黄麹)・食塩(少量)・泡盛(43度 のもので麹 の1.0~1.2倍)を混ぜ合わせておく
2.麹が十分にやわらかくなったらすり鉢でつぶすかミキサーにかける
〇豆腐の乾燥
1.島豆腐(なければ堅めの豆腐)を2~3cm角の大きさに切る
2.豆腐を陰干しにする
3.豆腐が乾燥したら表面を泡盛で洗浄する
〇熟成
1.乾燥豆腐を漬け汁に漬け込む
2. 夏期で2~3か月、冬期で3~4か月常温で熟成させる
密封したまま冷蔵すれば、1年間の長期保存が可能だそうです。
豆腐ようの食べ方
豆腐ようはアルコール度数が高いので、奈良漬で酔う方はご注意くださいね。
また、味が非常に濃厚なため、一度にたくさん食べるものではありません。
豆腐ようはおつまみに最高
サイコロ状の豆腐ようをつまようじで「ちびりちびり」削りながら食べるのが一番美味しい食べ方だと思います。
つまようじの先端でちょっとずつサイコロを削っていくのです。
相手は沖縄尚学同様、「強豪」泡盛です、用心しながらせめていきます。
日本酒にぴったりですが、飲めなくても十分美味しい豆腐ようです。
豆腐ようのアレンジ
豆腐ようには二つの色があります。
紅麹・黄麹を使った鮮やかな紅色の豆腐よう、主に黄麹を使った白っぽい豆腐ようです。
白色の豆腐ようには、色素を生成しない紅麹菌が使われているものもあります。
紅白どちらの豆腐ようも、そのまま戴くだけではなく、料理の隠し味や調味料にも最適です。
台湾の豆腐乳のようにお粥にのせたり、鍋料理の薬味にしたり、チーズのようにパスタにからめたりと、強烈な旨味を生かした調理ができます。
豆腐ようのおすすめメーカー
沖縄には豆腐ようのメーカーがいくつもあります。
沖縄のスーパーには当たり前のように置かれてある豆腐ようです。
同じ発酵食品でいえば、茨城のスーパーに納豆が並んでいるようなものでしょうか。
原材の配合比率と作り方は、メーカーによって工夫が凝らされ、使用する泡盛も違います。
毎日食べる納豆が決まっているように、沖縄の食卓には、それぞれお気に入りの豆腐ようがあることでしょう。
そのなかから、人気の高い紅あさひの豆腐ようと、鍾乳洞で熟成する豆腐ようをご紹介します。
また、大手ECサイトのランキングも見てみましょう。
紅あさひの豆腐よう
沖縄の老舗食品メーカーあさひ屋さんの「紅あさひの豆腐よう」。
その知名度は九州の納豆でいえば、お城納豆のような存在でしょうか。
あさひ屋さんの豆腐ようは、自家培養した紅麹を用い、120日以上熟成させて作っています。
商品は、城(ぐすく)・マイルド・古酒仕込みの3つです。
セット販売もされていますので、味の違いが楽しめます。
鍾乳洞の豆腐よう
国頭郡金武町(クニガミグンキンチョウ)には、鍾乳洞で熟成されている豆腐ようがあります。
運営されているのはインターリンク沖縄さんで、ブランド名は「龍の蔵」です。
年間を通して一定の温度・湿度を保つ鍾乳洞には、泡盛も!
欧州によくある天然のワインセラーのようですね。
沖縄初の豆腐よう専門店「龍の蔵 県庁前店」も話題を集めています。
豆腐ように使用されている原材料はすべて沖縄産です。
楽天市場・Amazon人気ランキング
楽天市場の豆腐よう売れ筋ランキングベスト3は次のとおりです。(2023年9月12日更新)
1位:紅濱の唐芙蓉
2位:紅あさひの豆腐よう/古酒仕込み 3粒 × 3箱セット
3位:紅あさひの豆腐よう/マイルド 8粒(4粒×2パック)
Amazonではどうでしょうか。
1位:紅あさひの豆腐よう/マイルド 8粒(4粒×2パック)
2位:沖縄県物産公社の豆腐よう/4個
3位:紅あさひの豆腐よう/古酒仕込み3粒+マイルド4粒セット
紅あさひは、通販サイトでも人気がありますね。
豆腐ようは常温の保存食
豆腐ようは、沖縄が誇る伝統食の一つです。
常温で長期保存が可能なうえ、美味しくて体に良い発酵食品でもあります。
紅麹・黄麹・泡盛の漬け汁に乾燥豆腐を入れて熟成させれば完成です。
琉球料理・沖縄料理のお店に行けば、必ずメニューにある豆腐よう。
せっかくなら沖縄の海と空と人に会いに、いざ沖縄へ。
[参考資料:「豆腐よう」(桂 正子氏)・「豆腐ようと腐乳」(曲山 幸生氏) ]