バナナと無農薬の組み合わせはあまり思いつきません。
栄養豊富で、日本人が大好きなバナナですが、「〇〇の無農薬バナナが大好きなの!という話はほとんど耳にしませんね。
「バナナに農薬はつきもの→バナナは皮をむいて食べるもの→あまり気にしない」というバナナ生活を送っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
バナナをおやつに育った私もそうでした。
しかし、除草剤・化学肥料不使用・可能かなぎり農薬に頼らないというバナナに出会い、バナナの世界が一変しました。
エクアドルの田辺農園さんのバナナです。
新しいバナナの世界はこうです。
「輸入バナナにも国産バナナにも無農薬にこだわったバナナがある→バナナは皮も食べられるもの→それなら無農薬バナナにしよう」
新しいバナナの世界に招き入れてくれた、輸入バナナの代表格エクアドルの田辺農園バナナと、九州でも栽培されている3つの無農薬バナナをご紹介します。
輸入バナナの農薬問題は?
店頭に並ぶバナナは輸入品ですね。99.9%以上が輸入されています。
輸入バナナのポストハーベストや燻蒸(くんじょう)はどうなっているのでしょうか。
バナナのポストハーベスト
以前は、長い船旅をする輸入かんきつ類およびバナナのストハーベスト(収穫後に使用される防カビ剤と殺虫剤)について、かなり話題に上っていました。
特にレモンは皮をしぼる果実ですので、買うのを控えた記憶があります。
安全性を問題視する世論の影響でしょうか、2023年現在、バナナにポストハーベストの問題はありません。
バナナには、イマザリル、TBZ(チアベンダゾール)の2種類の食品添加物(という名の農薬)の使用が許可されています。
しかし日本バナナ輸入組合さんによれば、実際は、バナナに「食品添加物」は使用されていないそうです。
まわりくどい話ですが、バナナのポストハーベストについては、ひとまず安心ですね。
バナナの燻蒸(くんじょう)
輸入されたバナナは、倉庫に保管され、農林水産省・厚生労働省管轄の検疫を受けます。
まず、一つ目は、植物防疫法に基づく植物検査。病害虫の有無を調べる検査です。
次に、食品衛生法に基づく検査。残留農薬・食品添加物・病原菌などを調べます。
最初の植物検査で、バナナに生きた害虫が見つかった場合は、廃棄・返送・消毒のいずれかの措置がとられます。
燻蒸(くんじょう)とは、この消毒処理のことです。密閉された倉庫の中で薬剤をガス化して、コンテナごと害虫を退治するというもの。
この薬剤は、シアン化水素(青酸ガス)と臭化メチルで、害虫によって使い分けられています。
シアン化水素は、バナナの表面についたカイガラムシ等の駆除に使われる薬剤です。非常に揮発性が高いので、バナナに残留する危険性はないといわれています。
一方、臭化メチルは、バナナ内部に食い込んだ虫の燻蒸に使われるため、果肉への影響がないとはいえません。
バナナをはじめ果物・野菜などの燻蒸には、主としてシアン化水素が使用されるそうです。
田辺農園のバナナは森のバナナ
田辺農園さんのバナナは、バナナ畑ではなく、エクアドルの広大なバナナの森で育てられています。
エクアドル(Ecuador=スペイン語で「赤道」)は、南アメリカ西部の赤道直下に位置する世界一のバナナ輸出国です。
また、気温や日照環境のよさから、バラの耕地面積は世界一と言われており、世界一のバラ輸出国でもあります。
エクアドルと日本とは、太平洋を挟んで約15,000kmの距離にある隣国です。
〇田辺農園所在地…エクアドル サント・ドミンゴ県
〇田辺農園の規模…約550ヘクタール(栽培面積 約350ヘクタール)
〇従業員数…約600名
〇生産量…約1.8万トン
田邊正裕氏が拓いたバナナ農園
田辺農園は、赤道直下の標高約300mの高原地帯に拓かれたバナナ農園です。
1991年、広島県出身の田邊正裕氏によって拓かれ、弟の田邊洋樹氏と共に運営されています。
正裕氏は、16歳のときにご家族でエクアドルに移住され、40歳でバナナ農園を始められたそうです。
創業当時は、出荷後に他のエクアドル産バナナと一緒に輸出されていました。
自然環境に配慮して大切に育てた高品質なバナナを直接消費者に届けたいという思いから、正裕氏は日本のANAフーズさんと提携しました。
田辺農園バナナのこだわりに共鳴したANAフーズさんは、全量買い取りを条件に2005年から日本国内での販売を開始。
私が初めて田辺農園バナナに出会ったのは地元のスーパーでした。
「日本人が作った」というフレーズと和やかな笑顔の正裕氏が印象に残っています。
輸入バナナだけれども顔の見える日本人が作ったんだという安心感、お人柄のにじみでている写真に惹かれました。
大ぶりできれいな色のバナナを買い求めて以来、ずっと田辺農園ファンです。
今まで食べていたバナナの風味とは違うコクのある甘さと微かな酸味。
発売以来、田辺農園バナナの人気はどんどん高まっていきました。
田辺農園は広大なバナナの楽園
田辺農園さんのバナナの森を動画で拝見しましたが、まさにバナナの楽園です。
下草で覆われた豊かな土壌に青々としたバナナの葉が茂り、その緑の風景がどこまでも続いています。
不要な人工物のない、天然のジャングルのようです。
田辺農園さんでは、自然の地形をそのまま生かし、化学肥料・除草剤を一切使用せずにバナナを作っています。
環境を壊さず自然の力を借りて作っているというところが、田辺農園バナナの最大の特徴ではないでしょうか。
田邊式循環農法のバナナ
田辺農園バナナのパッケージには「田辺農園の4つのこだわり」が記載されています。
品質・土地・農法・気候です。
その中の農法については「自家栽培有機質肥料・土づくり・水にこだわった自然循環型農法」という説明があります。
バナナでバナナを育てる土づくり
田辺農園さんでは、農園独自の厳しい審査を通過できるのは収穫したバナナの90%ほどだそうです。
規格外のバナナは廃棄されず、刈り取った葉や茎と一緒に発酵させ、新たにバナナを育てる肥料として再生されます。
化学肥料を一切使わない田辺農園さんは、ミミズや酵母菌・乳酸菌などの微生物を使ってバナナでバナナを育てているのです。
化学肥料・除草剤を使わない生きた土壌に生き物の力を借りて作った堆肥を入れる自然のサイクル。
田辺農園さんは、健康的なバナナが次々に育つ仕組みを作り上げています。
【参考:ジャイカ(独立法人国際協力機構)】
人が飲めるほどきれいな水
田辺農園内には自然の地形を生かした水路が走り、乾季にも水が安定供給できる灌漑用のダムが作られています。
また、バナナの洗浄用の水は、井戸水を活性炭でろ過し、さらにオゾン殺菌した水です。
収穫後のバナナは品質管理専門のスタッフによって厳しくチェックされ、合格したバナナだけが洗浄されることになります、
一次洗浄、二次洗浄、そして最後は人の手で1本1本丁寧に品質を見極めながら洗浄されます。
人が飲めるほどきれいな水を使ってバナナの品質を徹底管理しているのは驚きです。
これだけ見事に「ととのえられた」田辺農園バナナ!
この完璧に管理されたバナナに船旅の途中で害虫がつき、万一燻蒸されることがあるとしたら、よっぽどの不運としかいいようがありませんね。
【参考:ANAフーズ株式会社取扱商品】
バナナの森で働くエクアドルの人々
田辺農園バナナの森で働いているのは、近隣のエクアドルの方です。
約600名のエクアドルの人々が、正規雇用の従業員として田辺農園バナナを支えています。
従業員の福利厚生も行き届いており、ANAフーズさんのサイトには、生き生きと働く「バナナの森の人々」の姿が映し出されています。
田辺農園さんは、土と水とそして、何よりも人を大事にする農園です。
田邊正裕氏の次のような言葉が、胸にしみます。
「エクアドルに暮らし、バナナの森で働く彼らの明るい笑顔も、田辺農園バナナのおいしさの証しだと、私は信じています。」
人と環境に配慮した田辺農園さんの取り組みは、厳しい世界基準でも認められ、「グローバルギャップ」「レインフォレスト・アライアンス」2つの国際認証を取得しています。
田辺農園のバナナはどこで買える?
田辺農園バナナを全国どこでも手軽に買えるのはローソンです。
ローソンに行くと必ず買います。というより、田辺農園バナナを買いに立ち寄るコンビニがローソンです。
ローソンで購入できる田辺農園バナナは、1本入りとパックの2種類があります。
参考までに、2023年5月現在、ローソン標準価格 は1本入で118円(税込147円)です。
6月下旬にJAの直売所でも購入することができました。こちらは3本入りで特別価格。
大きくて立派な田辺農園バナナが、1本100円を切る価格でした。さすがはJA。ありがたく購入させていただきました。
九州にも甘い無農薬バナナがある!
国産バナナといえば沖縄の島バナナが有名ですね。
温暖な南九州の鹿児島・宮崎・熊本で栽培されているバナナもあります、しかも無農薬!
田辺農園さんと同じく、作り手の顔が見える安心安全で美味しいバナナです。
国産無農薬バナナは希少価値が高くお値段が張りますので、贈答用に向いています。
鹿児島県産無農薬バナナ
鹿児島県の無農薬バナナをご紹介します。
鹿児島県南九州市川辺町神殿(かわなべ町こうどの)で作られている、その名も「神バナナ」です。
盆地特有の寒暖差を利用した甘いバナナです。名水百選にも選ばれたミネラル豊富な水を使って冬場はハウスで管理しています。
完全無農薬ですので、皮まで食べられるバナナとして販売されています。
〇法人名…農業法人 神バナナ 株式会社
〇本社所在地…鹿児島県南九州市川辺町平山4109番地
〇問合せ先電話番号…099-356-5575
〇「神バナナ」の通販サイト(https://kamibanana.jp/)
宮崎県産無農薬バナナ
宮崎県川南町の「NEXT716」も、皮まで食べられるバナナです。
タネに氷河期を疑似体験させて、寒さ耐性と甘味の強いバナナを作り出す栽培方法をとっているそうです。
通販サイトには、高級感のある贈答用からお得な家庭用、さらに加工品まで魅力的な商品がそろっています。
宮崎県川南町のふるさと納税の返礼品としても戴くことができるのはうれしいですね。
(宮崎県産無農薬バナナの商品を見る:川南町ふるさと納税の返礼品)
〇法人名…NEXTファーム宮崎
〇本社所在地…宮崎県児湯郡川南町平田716番地
TEL : 098-327-5101 or 092-583-3205
FAX : 098-327-5101
〇「NEXT716」の通販サイト(https://next716.com/?mode=cate&cbid=2476157&csid=0)
熊本県産無農薬バナナ
熊本県の無農薬バナナ「たかきのバナナ」は、八代市で農業を営む高木さんが作ったバナナです。
「たかきのバナナ」は、バナナ本来の甘みや食感を追求し、ギリギリまで樹上で完熟させています。
そのため色は青いまま出荷し、追熟して戴くバナナです。農家直送ならではの新鮮さですね。
完全無農薬でありながら価格もお手ごろです。
たかきさんには、バナナのオーナー制度もありますよ。
〇法人名…農業生産法人 株式会社たかき
〇本社所在地…本県八代市鏡町貝洲1132
〇連絡先電話番号…TEL:0965-53-9731
〇株式会社たかきのサイト…(https://www.takaki-komekoubou.com/)
「たかきのバナナ」は、お電話もしくはネットでお取り寄せできます。
利用可能なネット通販の時期につきましては、お電話または上記サイトのお問い合わせからお尋ねください。
安心して食べられるバナナの備蓄
田辺農園バナナは、長い旅をしてくる輸入バナナでも、安心していただけるバナナです。
世界一のバナナ輸出国エクアドルの地で、土・水にこだわり、環境と人を大事にして育てられた田辺農園バナナはひと味違います。
また、温暖な九州で栽培されているのは、完全無農薬にこだわったバナナたちです。
・鹿児島の「神バナナ」
・宮崎の「NEXT716」
・熊本の「たかきのバナナ」
バナナも備蓄できます。
安心安全で栄養豊富なバナナを冷凍したりバナナチップにしたり、新しいバナナの世界で新しいバナナ生活を始めてみませんか。