宮崎の金柑「たまたま」が登場したとき、そのネーミングが話題になりましたね。
私は宮崎県の「道の駅えびの」で初めて「たまたま」を目にしました。
「え?たまたま!」
と足を止めたのも今は昔。
今や「たまたま」は、名実ともに金柑の世界で不動の地位を占めています。
さらに「たまたま」基準を満たしながら無農薬・化学肥料不使用の金柑が生まれました。すでに全国区のブランド金柑です。
生まれはもちろん宮崎、甘露煮にしてはいけない金柑、その名を完熟金柑「竜玉」といいます。
「竜玉」はなぜ甘露煮にしてはいけないのか?
「たまたま」基準についてご紹介したあと、「竜玉」の正体に迫ります。
宮崎は日本一の金柑産地
宮崎の金柑の生産量は全国トップです。
日本で生産される6割〜7割の金柑が宮崎産で、その次が鹿児島、熊本と九州勢が続きます。
宮崎では金柑だけではなく、温暖な気候を生かした果物の栽培が盛んです。たとえばマンゴーは、沖縄に次ぐ第2位の生産量をほこっています。
さんさんと降りそそぐ太陽の光を浴びて、甘い果物が育つ土地、それが宮崎です。
宮崎のブランド金柑たまたま
宮崎の金柑を一躍有名にしたのが、完熟金柑「たまたま」です。
気になる名前の由来は、次の2つの説が有力だそうですよ。
〇寒波で路地ものの金柑が枯れてしまい、急いでビニールハウスで育てた苗から偶然(たまたま)大きくて甘い金柑ができたからだという説。
〇名前を公募したところ、宮崎の小学生が名づけたのが「たまたま」だったという説。
完熟金柑たまたまの条件
完熟金柑「たまたま」は、宮崎県の地域ブランドです。
JA宮崎経済連の認定ブランドですので、育て方や品質に基準が設けられています。
・開花から210日以上、ハウス内の樹上で完熟させた金柑
・直径2.8cm以上、糖度16℃以上、傷がなく形が良いもの
金柑の品種ではなく、金柑の育て方が違うことがわかります。
7か月も木の上で育てた分、甘く大きな金柑ができるというわけです。
温州ミカンの平均糖度は10度〜14度といわれています。
「たまたま」金柑の糖度16℃以上という基準がどれだけ甘いかわかりますね。
さらに、「たまたま」金柑の中でも特にすぐれた「たまたま」は、「たまたまエクセレント」と名づけられて出荷されています。
「たまたたまエクセレント」の基準は、直径3.2cm以上、糖度18℃以上です。まさにエクセレント!
たまたま金柑の食べ方
宮崎県のブランド金柑「たまたま」は、加工用に作られた金柑ではありません。
一般的な金柑は甘みがあるのは皮だけですよね。生のまま丸ごと食べると酸味が強いため、ふつうは甘露煮にします。
しかし、「たまたま」金柑は、糖度が高く、皮も実も甘いので生食用の金柑なのです。しかも生で食べる金柑として、低農薬栽培されています。
「たまたま」金柑は、「生でまるかじり!」これが正しい食べ方です。
たまたま金柑は栄養機能食品
「たまたま」金柑200グラム(6〜7個)で、1日の摂取量目安の45〜150%のビタミンC、30〜129%のビタミンEがとれるそうです。
これも太陽の降り注ぐ南国宮崎ならではの恵みですね。
「たまたま」金柑は、平成31年1⽉15⽇から、「栄養機能⾷品(ビタミンC・ビタミンE」として販売できるようになりました。
美味しさも栄養も兼ね備えた「たまたま」金柑は、名実ともに宮崎を代表する特産品です。
宮崎の無農薬金柑「竜玉」
宮崎県東臼杵郡美郷町西郷(旧西郷村)は、全国の完熟金柑の10%を生産しています。
不況にあえぐ村を何とかしようと地域をあげて完熟金柑の栽培に取り組み、平成17年には、金柑販売額1億円を達成したそうです。
西郷の金柑としてメディアにも取り上げられ、「たまたま」金柑の産地として全国に知られるようになりました。
この西郷の地で誕生したのが無農薬・化学肥料不使用の完熟金柑「竜玉」です。
作り手は宮崎県「竜玉農縁」の黒木竜太さん
完熟金柑「竜玉」の作り手は宮崎出身の黒木竜太さんです。西郷の金柑部会に所属し、完熟金柑の栽培に情熱をかたむけてこられました。
黒木さんは、JAを通して市場に出荷する「たまたま」・「たまたまエクセレント」のほかに、ご自身のお名前に由来する竜にちなんだブランド金柑を生産・販売されています。
黒木さんの金柑は、無農薬・化学肥料不使用の金柑です。微生物の力を借りて土づくりをされています。
お子さんが、木から直接手に取って食べることのできる金柑を作りたいという思いが、黒木さんを無農薬有機栽培へと向かわせたそうです。
完熟金柑「竜玉」は、黒木さんの父親としての愛情の詰まった金柑でもあります。
オーガニックエコフェスタ優秀賞受賞の金柑
完熟金柑「竜玉」は、「たまたま」・「エクセレントたまたま」の基準糖度を超えるとびきりの甘さの金柑です。
つやつやとした太陽の色の「竜玉」金柑は、見るからに食欲をそそります。ひと口食べてふた口食べて、その甘さにびっくり。
皮も実も種も甘い!
ただ甘いのではなくて、かすかに感じる酸味と、かすかにかすかに感じる苦みがアクセントになって美味い美味い美味い。
「竜玉」金柑の箱に同封してあった説明書きを読んで二度びっくり。
オーガニックフェスタ2021で優秀賞をとった際の分析結果報告書です。
「竜玉」の分析結果 | 平均値 | |
Brix糖度 | 20.9 | 15.5 |
抗酸化力 | 73.3 | 39.0 |
ビタミンC | 43.2 | 38.6 |
硝酸イオン | 5.0以下 | 10.8以下 |
なんと糖度は20を超えています。これは種まですりつぶして測った値だそうです。
皮だけではなく丸ごと甘い金柑だということが本当によくわかります。
黒木さんによれば、最高で糖度36とのこと。はちみつ金柑ですね。
抗酸化力もビタミンCも平均より高く、有害な硝酸イオンは検出限界値以下。
食味についての評価を転記します。
「濃厚な甘味と酸味を感じ、さっぱりとした酸味とのバランスが絶妙に良く、キンカンの風味とコクが口一杯に広がり、非常に美味しい」という評価です。
竜玉の金柑は4種類
「竜玉」金柑は、大きさや傷の有無によって、「竜王」「縁竜」「黄竜」「福竜」の4種類に分けられています。
ブランド名を冠した「竜玉」は、傷もなく大玉で贈答用に最適です。いっぽう、傷がある金柑もストレスがかかった状態なのでよりいっそう甘いのだとか。
すべての「竜玉」金柑が、黒木さん自作の竜が描かれた美しい箱に入っています。
黒木さんは地元の工業高校を卒業後、美容専門学校へ進み美容師として働いていらした経験があるそうです。絵心があるのは納得ですね。
「竜玉」金柑は、まず箱のデザインにハッとし、箱を開けてそのつややかさにうっとりし、口に入れてその甘さに幸せを感じる「一粒で三度おいしい金柑」だと思います。
宮崎の完熟金柑を生で美味しく
宮崎の完熟金柑を、甘露煮にしてはいけない理由がお分かりいただけたでしょうか。
実は、「竜玉」金柑を保存用の天然のど飴にしたくて、ついつい半分ほど甘露煮にしてしまったのです。
後悔しました・・・。とんでもない甘さになりました・・・。
「竜玉」金柑は、甘露煮にする意味がありませんでした。
糖度の高い金柑ですので、冷凍にして夏に自然解凍して戴くという、地元農家の方の食べ方もあるそうです。
金柑を甘露煮以外の方法で保存食にできるとは、思いもよりませんでした。
水分の多い野菜の保存食づくりは、乾燥が基本です。
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みずみずしい完熟金柑を冷凍保存できるとは。そういえば冷凍ミカン、ありましたね。
「竜王」金柑さまの残りは早速冷凍しましたので、夏が来るのが楽しみです。
甘くてビタミンたっぷりの宮崎の完熟金柑を丸かじりして、自然の恵みを明日の糧にしましょう。
ご購入される場合は、黒木さん(TEL 090-7351-0930)にお問い合わせください。ネット販売もあります。
宮崎には無農薬バナナもあります。難しい果物の無農薬栽培にも果敢に挑戦するフルーツ王国の進取の気性はとどまるところを知りません。