レスキューライス → アルファ米 → 乾飯(かれいい) → 有間皇子という連想をしてしまうのは私だけでしょうか。
家有者 笥尓盛飯乎 草枕 旅尓之有者 椎之葉尓盛(家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る)「万葉集 第2巻 142番歌 有間皇子」
19歳で悲運の最期を遂げた有間皇子の歌です。
有間皇子が最期に食べたのか神様にお供えしたのかわかりませんが、この歌は、飯(いい)が当時から携行食であったことを教えてくれます。
飛鳥時代から悠久の時を経て現代によみがえったアルファ米。
こちらでご紹介するのは7年保存可能なレスキューライスのアルファ米です。
加工米の産地は国産米としか表示のないものが多いですよね。
レスキューライスは岡山のうるち米使用と明示してあり、食感をよくするために九州産のもち米もまぜています。
岡山の会社が岡山の米と九州の米で作るレスキューライス!鮮度と品質に信頼を寄せてご紹介する備蓄米です。
アルファ米の元祖は防人の携行食でもありました
アルファ米の元祖ともいうべき「糒」(ほしいい・ほしい)「乾(干)飯」(かれいい・かれい)は、古来より保存食・携行食として重宝されてきました。
東国から大宰府へ徴集された防人の人々も、長旅の食料として自前で糒を用意しなければなりませんでした。
九州へ向かう船が出る難波津(なにわづ)までの長い道のりを歩きとおした防人の糧となったのが糒なのです。
アルファ米とは
アルファ米とは、炊飯したあとに乾燥させたお米です。お湯や水を注ぐだけでご飯になります。
炊いてカラカラにした米をなぜアルファ米というのか、「アルファ」が謎めいているので説明しますね。
米の主な成分はでんぷんで、水には溶けません。
生米の状態ではでんぷんの分子は固く結びついており、この状態のでんぷんを「β(ベータ)でんぷん」といいます。
お米を炊いてでんぷんに熱を加えると、分子の結びつきがくずれて水の分子が入り込みます。
こうして硬かったでんぷんが粘り気のある糊状の物質に変化することを「糊化またはアルファ化」といいます。
炊きあがった米のでんぷんはアルファ化しているので「α(アルファ)でんぷん」と呼ばれるというわけです。
米が食べられるのは、米を炊くことで硬いベータでんぷんが消化しやすいアルファでんぷんに変化するからなのですね。
しかし、このアルファでんぷんは水分を含んでいるので腐りやすいのです。
炊いたご飯が時間とともに腐るのは経験上よくわかりますよね。
さらに冷えると再びベータでんぷんに戻ってしまい、食べるためには再び過熱しなければならなくなります。
再ベータ化すると食味も劣化するので、なんとかアルファ状態のまま食べたいですよね。
そこで生まれたのがアルファ米!
アルファ米は、炊きたてのご飯を急速に乾燥させてアルファ化した状態のまま、水分を飛ばすことで腐らないようにしたお米です。
以上、「謎のアルファ」の正体でした。
古来からの保存食「糒」「乾飯」
「糒」(ほしいい・ほしい)「乾(干)飯」(かれいい・かれい)は、アルファとかベータとかでんぷんの糊化とかそのような化学的な説明抜きに存在していたのですから驚きです。
「伊勢物語」の東下りの場面にも登場しますね。
「その沢のほとりの木の陰に下りゐて、乾飯(かれいひ)食ひけり。(中略)みな人、乾飯の上に涙落として、ほとびにけり。」
「糒」も「乾(干し)飯」も言葉は違いますが同義です。
「糒」の漢字を分解すると、「備える米」ですね。さすがの漢字。
炊いた米を乾燥させる手段が天日だというのがアルファ米との大きな違いでしょうか。
今、天日で干せる環境を探すのは難しいですよね。
昔々の山紫水明の日本だったからこそ、生まれた保存食といえるでしょう。
8世紀半ばに制定された養老律令(ようろうりつりょう)の中の倉庫令(そうこりょう)には、「糒」の保存期間は20年と記されているそうです。
に、に、にじゅうねん。
おそるべし、むかしむかしの天日の力!ですね。
「レスキューライス」は産地がわかるアルファ米
レスキューライスは岡山に本社を構える山貴屋さんのアルファ米です。
山貴屋さんは防災用乾燥備蓄食品の製造販売を手掛けています。
加工米の産地も知りたい
アルファ米のいいところはなんといっても手軽に食事ができるという点。緊急時、炊事の手間なくすぐに主食が食べられるのは有難いです。
自分で買ってきた米で昔のように「糒」が作れればいいのですが、そう簡単にはいきません。
そこで、市販のアルファ米のお世話になるのですが、気になるのは産地です。
私は九州在住ですので、新鮮で身近な食材といえば、やはり九州または近郊のものです。全ての食材選びの基準にしています。
加工品は、どうしても産地が大まかになりがちです。大量に加工して作るには複数の産地から原料を取り寄せる必要があります。
産地の分かるアルファ米はなかなか見つけることができませんでした。
唯一探し当てたのがレスキューライスです。
岡山県産うるち米に九州産もち米
レスキューライスのお米は岡山県産です。
岡山の会社だから岡山の米でつくるというのはごく自然な発想のようですが、信念が必要だと思います。
米に産地は書いていないので、混ぜることは簡単だからです。
地元の米だけで作り続けるレスキューライスには「晴れの国」といわれる岡山の自然の英気が詰まっている気がします。
九州産のもち米を使ってもらっているというのもうれしいところです。
九州産「無農薬」もち米については別記事でご紹介しています。
【関連記事:もち米が選べる餅つき機・ホームベーカリー餅!九州産「無農薬」糯米もご紹介】
7年保存できるレスキューライスラインナップ
レスキューライスの保存期間は7年です。
7年あればうっかりローリングストックし忘れても大丈夫ですね。
レスキューライスのアルファ米にも「味変」に対応する商品があります。いずれも産地は同じ岡山です。
レスキューライスで備える
現代版糒、レスキューライス。
水やお湯で戻すだけで、いつでもどこでもすぐに炊きたて風味のご飯が食べられます。
しかも全商品が岡山の米です。
昔の人々と同じように「米で備える」一つの手段として、レスキューライスはいかがでしょうか。