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【2023年】肥料・農産物価格の推移は?4月の農業物価指数をみる(5月30日/6月30日公表)

こんにちは。ジャックです!

肥料や農産物の価格はどのように推移しているのでしょうか。

主要メーカー195社が2023年に値上げする食品は、2万品目を超えたと発表されています。

2023年6月から大手7社の電気代は値上がりし、ガス代も高止まりです。

7月には小麦粉・食用油など数千品目が値上げされました。

止まらない値上げラッシュのなか、肥料・飼料の高騰は続くのか?主食の米をはじめ農作物の価格はどうなるのか?

農林水産省・JA全農(全国農業協同組合連合会)の発表をもとにお伝えします。

肥料・飼料の高止まり

農産物価格を考えるとき、肥料・飼料価格に注目する必要があります。

肥料は農産物に与えるもの、飼料は家畜のえさになるものです。

ここでは、肥料に焦点を当てて価格の推移を見ていきましょう。

市場規模は減少傾向から一転

国内の肥料市場規模は、減少傾向が続いていましたが、2021年には拡大に転じました。

下記のデータは、矢野経済研究所さんによるプレスリリース2回分(2020年・2022年)をまとめたものです。

※注1 メーカー出荷金額ベース

※注2 2019年度および2022年度は見込み

矢野経済研究所さんの調査結果によれば、2020年度まで肥料の市場規模は減少で推移しています。

しかし、2021年度の肥料市場規模(メーカー出荷金額ベース)は拡大に転じました。

化学肥料は、原料(りん鉱⽯等)のほとんどを輸⼊に依存しており、国際的な需給動向に価格が左右されます。

また化成肥料の製造コストの約6割は原材料費です。

したがって、2022年度には、化学肥料の製品価格の値上げが本格化しました。

[参考:肥料制度をめぐる事情と課題 農林水産省

肥料価格高騰対策事業

肥料価格の高騰により、生産者が化学肥料の使用量を減らすのは当然の流れです。

一方、肥料メーカーも困っています。

肥料関連の売上高が増えても、製造コスト・物流費も上昇しているため、収益性は悪化しているそうです。

そこで、JA全農・肥料メーカー・農林水産省・各自治体によるさまざまな取り組みが始まっています。

農林水産省の事業

農林水産省による肥料価格高騰対策事業についてご紹介します。

国が肥料の費用を支援する取り組みです。

〇支援の対象となる肥料…令和4年6月から令和5年5月に購入した肥料

〇支援の内容…化学肥料低減の取組を行った上で、前年度から増加した肥料費について、その7割を支援金として交付

〇申請に必要なもの

 ①購入価格がわかるもの(注文票など)

 ②化学肥料低減に向けた取組に2つ以上取り組むこと

申請に必要なものとしてあげられている②「化学肥料低減に向けた取組」は、申請書兼チェックシートの15項目から選ぶようになっています。

自治体も支援

各自治体でも支援の取り組みが行われています。

たとえば、鹿児島県では、国の措置に合わせて肥料コスト上昇分の1.5割を支援する「肥料価格高騰緊急支援事業」を創設しました。

つまり、国の支援分70%に県の支援分15%をあわせて、前年度から増加した肥料費の85%を支援するというものです。

西郷隆盛の遺訓集に「政(まつりごと)の大体は、文を興し、武を振るい、農を励ますの三つにあり」との言葉があるそうです。

西郷どんも喜んでいると思います。

令和5肥料年度秋肥(6~10月)の肥料価格

肥料価格高騰対策事業の支援対象は、令和5年5月までに購入した肥料でした。

では、秋の肥料価格はどうなるのでしょうか。

JA全農は、令和5肥料年度秋肥(6〜10月)の肥料価格を、前期(2022年11月〜23年5月)に比べ最大で4割引き下げると発表しました。

春肥と対比した秋肥の価格

JA全農が、2023年5月26日に発表した肥料価格の推移をご覧ください。

原則として2023年6月から適用されるそうです。

分類品目成 分(%)前期比(春肥対比)







単肥
窒素質尿素(輸入・大粒)46▲37%
尿素(国産・細粒)46▲28%
硫安(粉)21▲20%
石灰窒素21+4%

りん酸質
過石17▲7%
重焼りん35▲5%

加里質
塩化加里60▲44%
けい酸加里20▲19%
複合肥料高度化成(基準)15-15-15▲28%
 (JA全農プレスリリースより)

秋肥価決定の背景

秋肥の価格が春肥に比べて下がったのはなぜでしょうか。

輸入原料の価格が落ち着いたことが背景にあります。

肥料原料の荷動きが低調になったことや、ロシア品の供給が継続したことから、世界的に価格は下落に転じているそうです。

とはいえ、日本国内の電力・物流費・人件費などの費用は上昇しています。

JA全農によれば、国内の製造諸経費については値上げということで、メーカーと妥結したそうです。

高騰前に比べると、現在の肥料価格がなお歴史的な高水準であることは間違いありません。

農産物価格の推移

では、農産物の価格はどのように推移しているでしょうか。

農林水産省は、農業物価統計調査の結果を公表しています。

農業物価統計調査は5年ごとに基準改定が行われ、それぞれの基準年を100とした指数が作成されています。

直近では、令和5年(2023年)4月の農業物価指数を公表しました。基準年は令和2年です。

農業物価指数は、農産物価格指数・農業生産資材価格指数に分けられています。

農業生産資材とは、肥料・飼料・農業薬剤のことですので、ここからの説明は農産物価格にしぼりますね。

農業物価統計調査結果の概要

農産物価格指数の推移は次のとおりです。

〇農産物価格指数(総合価格指数)は106.3で前年同月比は3.6%上昇

〇果実等は低下

〇鶏卵・米等は上昇

やはり、農産物の価格も総合的には上昇していますね。

米の価格指数推移

米の月別価格指数の推移(直近3年間)を示したグラフです。

主食の米は、上昇したといっても鶏卵に比べれば、安定しています。

米は日本の食のいしずえです。

米価の安定は食生活の安定ですので、米作りこそが利益を生む仕組みは必須だと思います。

鶏卵の価格指数推移

鶏卵の月別価格指数の推移(直近3年間)です。

鶏卵の異常な値上がりについては周知のとおりですが、こうしてグラフ化したものを見ると改めて驚かされます。

果実の価格指数推移

果実の月別価格指数の推移(直近3年間)です。

鶏卵の後にみるとホッとしますね。

工芸作物の価格指数推移

最後は工芸作物の月別価格指数の推移(直近3年間)です。

工芸作物とは、工芸・工業の原料とすることを目的に栽培され、加工されてから人に利用される作物を指します。

日本で栽培されている工芸作物には、次のようなものがあります。

・ 繊維用 綿、大麻(あさ)、ケナフ

・畳用 い(い草、畳表)

・ 和紙用 こうぞ、みつまた、とろろあおい

・油脂用 なたね、紅花、ひまわり、ごま、えごま、オリーブなど

・ 甘味糖料用 さとうきび、てんさい、甘草(ステビア)

・デンプン・糊用 サツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシ、こんにゃくいも

・ 嗜好用 茶、葉たばこ

・香料 ラベンダー、ジャスミンなど

・ 樹脂類 漆、ハゼなど

・染料 藍、紅花、レッドキャベツなど

・ 薬用 除虫菊、はっか、おたねにんじん、大麦若葉、ウコン、ケールなど

今後も農業物価指数に注目

肥料価格の上昇は止まっています。

原料の輸入価格が落ち着いたことで、下落に転じましたが、それでもまだ高止まりです。

農産物価格指数(総合価格指数)は106.3で、前年の同じ月に比べて3.6%上昇しています。

なお、農林水産省によれば、上記の令和4年の年平均値及び月別値並びに令和5年の月別値は概数値です。

令和4年の確定した数値は、農林水産省ホームページに掲載されます(令和5年7月予定)。

※6月30日に発表された確定内容を追記します。

1)農産物価格指数(総合価格指数)は106.4で、野菜等が低下したものの、鶏卵、米等が上昇したことにより前年同月比は3.1%上昇した。
また、前月比は0.1%上昇した。

2)農業生産資材価格指数(総合価格指数)は121.9で、飼料、肥料等が上昇したことにより前年同月比は7.1%上昇した。
また、前月比は0.3%低下した。

これからも農業物価指数に注目することで、肥料・飼料価格そして農産物価格の動向がわかりますね。

農業を巡る価格が上がりすぎても下がりすぎても、ひずみが生まれます。

生産者が守られ、消費者が守られ、日本の農業が守られますように。

ABOUT ME
ジャック
「体は食べるものでできている」ことを実感したのが、ガン宣告をうけたときでした。術後は海外の情報も集めてひたすら食養生。20年以上前のことになります。2011年からは、地元九州の食材を求めて、道の駅・直売所通いの日々です。
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