「べにはるか」(紅はるか)は、甘みの強いねっとり系サツマイモです。
九州の道の駅・農産物直売所の芋売り場には、ほぼ一年を通してきれいな赤い顔のべにはるかが並ぶようになりました。
また、べにはるかの産地では、生産加工に工夫を凝らし、ブランド化をすすめています。
サツマイモ界の人気を一手に集めるべにはるかには、どんな特徴があるのでしょう。
干し芋のほかにも冬は焼き芋、夏は冷やしても美味しい冷凍焼き芋で戴くのがおすすめのべにはるかをご紹介します。
お取り寄せできる選りすぐりの九州ブランドべにはるかもご紹介しますので、お芋には目がないという方は、どうぞお役立てください。
「べにはるか」の特徴
べにはるかは、糖の含量、特に麦芽糖が多いサツマイモです。
掘りたてよりも貯蔵後のほうが粘質になり、甘みがさらに増してきます。のどに詰まりにくく食感がなめらかです。
冷えても美味しいので、さまざまな加工品に向いています。
これまで冬の風物詩だった焼き芋を、冷凍焼き芋として一年中美味しく食べられるようにした画期的な品種です。
べにはるかの誕生
べにはるかは、紅はるかと表記されることが多いのですが、正式な品種名は「べにはるか」です。
べにはるかは、九州農業試験場畑地利用部甘しょ交配研究室で生まれた品種です。
研究室は宮崎県都城市にあります。べにはるかのふるさとは宮崎県ですね。
平成8年(1996 年)に交配採種を開始して以来、長い年月をかけて育成されました。
2007年に品種名「べにはるか」として登録申請が行われ、実際に品種登録されたのが2010 年3月です。
べにはるかとは「はるかにすぐれたべにいろのいも」!
皮の色が赤紫であること、これまでの品種よりはるかに優れた特性をもつサツマイモであることから名付けられました。
研究・育成に携わられた方々の労苦が見事に実を結んだ名前ですね。
[参考資料:サツマイモ新品種「べにはるか」の育成]
べにはるかの系統
べにはるかは、いもの外観が優れる「九州121号」を母、いもの皮色や食味が優れる「春こがね」を父とする交配から生まれた品種です。
母「九州121号」、父「春こがね」にいたる来歴図をご覧ください。
(「サツマイモ新品種『べにはるか』の育成」より抜粋)
新幹線のような名前が並んでいますが、すべてサツマイモの品種です。
青木昆陽がこれを見たらなんというでしょう。
令和元年(2019年)に栽培されたサツマイモの主要品種として、約60品種の作付が報告されているそうです。
国が主導し歳月をかけて品種育成しているサツマイモ。国家百年の計という言葉が思い浮かびます。
べにはるかの7つの特性
べにはるかは、生食用サツマイモの作付けトップです。
サツマイモ全体でも焼酎用のコガネセンガンに次いで第二位を占めています。
農研機構によれば、人気を集めるべにはるかの主な特性は7つです。
「高系14号」と比較して述べられています。
「高系14号」は高知県で開発され、1945年(昭和20年)に命名登録されて以来、西日本で高い人気を集めてきた品種です。
有名な鳴門金時も、高系14号から生まれました。
1 糖度
蒸しいもの糖度(※Brix%)が「高系14号」より高く、甘みが強くて食味が良い。
2 品質
いもの皮色は赤紫、肉色は黄白で、外観は「高系14号」より優れ、形状の揃いが良く、A品率(A等級品の割合)が高い。
3 収量性
標準栽培・早掘栽培ともに「高系14号」並か多収。
4 病害虫への耐性
サツマイモネコブセンチュウ抵抗性は「強」で「高系14号」より優れ、立枯病には「中」、黒斑病には「中〜やや弱」である。
5 貯蔵性
「易」で、「高系14号」並み。
6 加工特性
焼きいものほか、いろいろな加工に適し汎用性がある。
7 普及
九州や関東のサツマイモ産地を中心に普及が拡大し、ブランド化が進んでいる。
※Brix(20℃におけるショ糖溶液の濃度を重量%で示したもの)
以上のことから、べにはるかが、西日本のサツマイモを代表する「高系14号」と比較してもたいへん優れた品種であることがわかります。
べにはるかの主な産地と作付割合
べにはるかの主な産地は、九州・関東のサツマイモの産地です。
令和4年産かんしょ(サツマイモ)の都道府県別収穫量および割合をご覧ください。
鹿児島をトップに、茨城・千葉・宮崎といった有名な産地が名を連ねていますね。
また、これより少し前の資料になりますが、令和元年に栽培されたさつまいもの主要品種(約60種)のなかで、作付けベスト5は次のとおりです。
品種別の作付けシェア | ||
1位 | コガネセンガン | 22.1% |
2位 | べにはるか | 15.4% |
3位 | ベニアズマ | 13.0% |
4位 | 高系14号 | 10.5% |
5位 | シロユタカ | 9.4% |
べにはるかは、生食用サツマイモの作付けトップです。サツマイモ全体でも、焼酎用のコガネセンガンに次いで第二位を占めています。
べにはるかは、鹿児島・宮崎をはじめとする九州そして茨城・千葉をはじめとする関東のサツマイモ産地の主力品種です。
冷やして美味しいべにはるかの食べ方
べにはるかは、冷やしても美味しいのが特徴です。
その特徴を生かす食べ方として、冷凍焼き芋が広まっています。
べにはるかの冷凍焼き芋
サツマイモは生のまま店頭に並ぶ青果ですね。
生芋を焼いたり煮たり蒸したりするのが従来のサツマイモの食べ方でした。
加工品といえば、おもに干し芋やチップス。
そこへ登場したのが、べにはるかの冷凍焼き芋です。
選りすぐったべにはるかを、いったん焼き芋にして冷凍した商品が、冷凍焼き芋として人気を博しています。
冷凍焼き芋は自分で作ることもできますが、美味しさは、サツマイモの味そのものに左右されます。
ブランド化されているべにはるかは、品質が高い分、安定した美味しさです。
真空パックなら保存期間は1年もありますよ。
冷凍焼き芋の食べ方
冷凍焼き芋の食べ方には二通りあります。
焼き芋に戻すか、アイスにするかです。
焼き芋に戻す場合は、アルミホイルでくるんでオーブンで温めます。失敗なしの出来上がりです。
アイスとして味わう場合は、室温で自然解凍します。
お好みの硬さまで溶けたら、スプーンですくって召し上がってください。とろりとろける芋アイス、べにはるかならではの甘さと食感です。
サツマイモが、べにはるかの登場で冷菓としても一人立ちできるようになりました。
九州のべにはるかブランド
全国のべにはるかの産地で、高品質のべにはるかが丹精込めて育てられています。
定評ある九州のべにはるかブランドを3つ、購入先もあわせてご紹介しますね。
鹿児島県鹿屋市「かのや紅はるか」
鹿児島県の大隅半島にある鹿屋市では、地元産のべにはるかに一定の認証基準を設けています。
栽培面積がおおむね 50a以上(学校教育機関は 5a以上)で、次の4つの基準を満たしたべにはるかが「かのや紅はるか」です。
① 堆肥散布前に土壌診断を実施し、診断に基づくによる施肥設計を行うこと ② 苗の許諾業者から購入したバイオ苗から増殖した挿し苗、または前年度購入したバイオ苗から生産し、その種芋から増殖した挿し苗(いわゆる一年バイオ)を使用すること ③ 別に定める栽培基準に基づき、栽培管理、適期病害虫防除を徹底すること ④ 定植から収穫までの栽培履歴を記帳する体制が整っていること・定植後 130 日前後で収穫 ・雨天時に収穫を行わない・収穫後 40 日以上貯蔵 ・選果・選別の徹底 ・ 降霜後は収穫しない (鹿屋市公式サイトより) |
さらに、鹿屋市では、より基準の厳しい「かのや紅はるかPURAMIUM」認証制度も設けています。
3年以上継続して「かのや紅はるか」の認証を受けている生産者を対象にした制度です。
この認証制度により、鹿屋市産べにはるかの付加価値を向上させ、生産者の販売を後押ししています。
宮崎県くしまアオイファーム「葵はるか」
くしまアオイファームは、宮崎県串間市に本社を構える農業法人です。
世界一のサツマイモ総合企業を目指す農業ベンチャーでもあります。
「葵はるか」は、くしまアオイファームさんのべにはるかブランドです。
べにはるかをはじめ、くしまアオイファームさんのサツマイモは、すべて減農薬栽培。
農薬の使用は、植え付け時期の数回だけだそうです。宮崎県農作物栽培慣行基準の50%以下を達成しています。
また、1,500トン規模のキュアリング貯蔵庫をもち、質の良いサツマイモの年間を通した出荷が可能です。
ここでいうキュアリング(curing)とは、収穫したサツマイモを温度管理した状態で保存し、収穫時についた傷をサツマイモ自身の治癒力でふさいでしまうことです。
南国生まれのサツマイモは、高温多湿が保存の条件です。収穫後のサツマイモは、ただ放っておくのが昔からのおばあちゃんの知恵でした。
保存のしかたが悪いと傷口から腐っていきますので、温度管理のできる貯蔵庫での保管は効率的です。
大分県JAおおいた「甘太くん」
「甘太くん」、名前勝ちですね。かわいらしい名前にひきつけられます。
「甘太くん」は、大分県とJAが連携して作り上げた大分独自のべにはるかブランドです。
主な産地は、臼杵(うすき)市・豊後大野(ぶんごおおの)市です。
サツマイモは水はけのよい土を好みます。
桜島の火山灰が降り積もる鹿児島で美味しいサツマイモができるように、大分も阿蘇の火山灰の大地が広がり、サツマイモ栽培に適しているのです。
大分べにはるかブランド「甘太くん」は、次の条件を満たしています。
・全農おおいたが指定する品種で、40日以上貯蔵
・糖度調査を実施し、品質チェックをクリアした圃場の芋
・種苗にはウィルスフリー苗を必ず使用する
さらに、市場に出る際は「JA全農おおいた」を通じて販売されたものだけが「甘太くん」を名乗ることができます。
晴れて「甘太くん」としてデビューしたべにはるかは、干し芋・焼き芋・冷凍焼き芋に形を変えて人気を集め、べにはるかブランドをけん引する存在です。
「かのや紅はるか」「葵はるか」「甘太くん」の購入
べにはるか九州ブランド「かのや紅はるか」「葵はるか」「甘太くん」の通販での購入についてご紹介します。
「かのや紅はるか」の購入先
かのや紅はるかの購入先としてご紹介するのは、高橋商事です。
鹿屋市にある南橋商事さんは、べにはるかの生産・加工・販売会社。「かのや紅はるかPURAMIUM」認証をうけています。
南橋商事さんの「かのや紅はるか」の購入先は次のとおりです。
ふるさと納税の返礼品には、生のまま・冷蔵品・冷凍品があります。キロ数も異なりますので一覧ページでお確かめください。
「葵はるか」の購入先
「葵はるか」の購入先としてご紹介するのは、くしまアオイファームさん・やきいも丸じゅんさんです。
くしまアオイファームさんは、その名もサツマイモ専門店オイモールという通販サイトを立ち上げています。
青果から加工品・芋焼酎まで幅広い品ぞろえです。
やきいも丸じゅんさんは、メディアでも取り上げられることの多い焼き芋専門店。
くしまアオイファームさんのべにはるか「葵はるか」を取り寄せ、独自の製法で冷蔵焼き芋として販売されています。
〇サツマイモ専門店オイモール(https://a-oimall.com/) 〇やきいも丸じゅん楽天市場 |
「甘太くん」の購入先
大分をはじめとする九州のスーパーやコンビニでも私たちを待っています。
また、JAの販売網を通して九州圏外でも購入可能です。
お取り寄せする場合は、JAタウン・楽天市場・ふるさと納税の返礼品など多様な購入法があります。
青果のべにはるか「甘太くん」をお求めの際は、在庫豊富なJAタウンがおすすめです。
加工品の「甘太くん」は、スイートポテトや焼酎にいたるまで、楽天市場に豊富に取り揃えられています。
また、ふるさと納税の返礼品としても、干し芋・焼き芋・冷凍焼き芋の形で戴くことができます。
楽天市場・ふるさと納税返礼品については、「甘太くん」の一覧ページをご参考になさってください。
〇JAタウン「甘太くん」の商品(https://www.ja-town.com/shop/c/c2S10/) 〇ふるさと納税返礼品「甘太くん 〇楽天市場「甘太くん」 |
はるかに美味しいべにはるか
べにはるかは、サツマイモの歴史を塗り替えた品種です。
ねっとりとしてで甘みが強いべにはるかは、多様な商品開発を可能にしました。
生産者は1年中出荷ができ、消費者は季節を問わず美味しいサツマイモを楽しめます。
べにはるかの産地はサツマイモの産地、九州・関東です。
産地ではブランド化が進み、九州でも「かのや紅はるか」「葵はるか」「甘太くん」などのブランドべにはるかが誕生しています。
はるかに美味しいべにはるかの冷凍焼き芋「冷やして食べる焼き芋」はいかがですか。