備蓄食糧ときいて真っ先に思い浮かべるのは何でしょう。主食として毎日のように食卓に上る食糧、それが備蓄するべき食糧です。
備蓄している食糧が必要となる日が、短くて済むのかそれとも長引くのか、予測はできません。長引くという前提で考えたほうが賢明です。
長く飽きずに食べることができる、健康によい、この条件をクリアーするのはやはりお米。それも、完全食といわれる玄米(農薬不使用)で備蓄するのが理にかなっています。
いっぽう、パン食が日常になっている方も多いでしょう。缶詰・袋詰めのパンもありますが、一時的な防災非常食です。
そこで、小麦着の出番です。こちらの記事では、備蓄用の小麦粉の必要性・健康上の問題を考えあわせたうえで、農薬不使用の小麦粉をおすすめします。
小麦粉の代用品になるグルテンフリーの粉ものもご紹介しますので、どうぞお役立てください。
備蓄食糧として小麦粉を選ぶ意味
備蓄する食糧に、小麦粉をおすすめする理由は、耐乏生活にいろどりをあたえてくれるからです。
備蓄している食糧が役に立つときのことは、あまり考えたくはありませんね。ローリングストックしただけだったね、で終わってほしいものです。
とはいえ、「備えあれば憂いなし」が趣旨でのぞむのが備蓄。とくに主食になる食糧の選択は重要です。
防災備蓄ではなく、食料不足に対応できる長期備蓄となると、なおさら主食の占める割合は大きくなります。米・小麦・イモ・トウモロコシの中で、一番バリエーション豊富な食糧は小麦です。
小麦は、パンをはじめとして、さまざまな麺類・粉ものの料理・お菓子にいたるまで変幻自在。共通するのは「美味しい」ということ。
食料不足になるような状況は、相当にストレスフルです。おそらく、物価は高騰しているでしょう。また、お金があっても買うものはないかもしれません。
食べられないと思うと、よけいに食べたくなる。空腹感とは別物の、飢餓感が生まれます。パンも食べたいし、麺も食べたいし、お好み焼きだって食べたい!食糧不足でも。
がまんが強いられる生活だからこそ、食の楽しみは大切です。ほんのわずかでも満足感を与えてくれる小麦粉は、備蓄の「ご褒美食糧」といえるかもしれませんね。
小麦粉が体に悪いといわれる理由
小麦粉は健康によくない、とくにグルテンは、その代表格としてやり玉にあがっています。
グルテン不耐症
グルテンとは、小麦粉に含まれる2種類のたんぱく質(グルテニン・グリアジン)が水を吸ってつながったもの。小麦粉に水を加えてこねるとグルテンができます。
グルテンを摂取すると体に不調をきたすグルテン不耐症は、日本でもよく知られるようになりました。ジョコビッチ選手の話は有名ですね。
しかし、その機序(体内でどのような作用が起きているのか)は明確にはわかりません。果たして、グルテンだけが体調不良の原因なのかも不明です。
はっきりしているのは、小麦アレルギー以外でも、小麦粉を食べられない、あるいは食べないほうがいい人がいるということ。
現代の小麦粉が抱える問題
小麦は人間の歴史とともに栽培され、日本でも弥生時代には、大陸から伝来しています。うどんやそうめんは、日本人のソールフードですよね。
そんな小麦が、なぜ近年、体に悪いといわれるようになってしまったのか?よく言われているのは、次の二つです。
・古代小麦から改変された現代小麦に原因があるという説
・ポストハーベスト農薬(収穫後の農産物に使用する防虫剤)
ポストハーベスト農薬は、輸送や貯蔵中の病害虫被害を防ぐ目的で散布されています。収穫後なので特に、残留農薬が問題になっているのです。
国産の小麦粉が解決する問題
国産の小麦粉には、ポストハーベストの心配がありません。国内で小麦がたくさん作られるようになったら、小麦粉の安全性は高まります。
国産の小麦粉を求める声
乾燥を好み湿気に弱い小麦は、高温多湿の日本では作りにくい作物といえるでしょう。日本の小麦は、ほとんどを輸入に頼っています。
国産小麦に比べて、外国産小麦はたんぱく質が多く、パン作りに向いています。国産小麦は、うどん向き。
外国産の小麦粉でつくったパンがふっくら焼きあがるのは、パンの国から来たからなんだなあとおもいます。その土地の気候風土に合う作物が育ち、その土地ならではの食文化が形成されていくのですね。
近年は、日本でも、パン作りに国内産の小麦粉を使いたいという需要が高まっています。そこで、育成が進んでいるのが、パンや中華めんに合う小麦です。
農水省によれば、令和2(2020)年度の国産小麦の生産量は、5万トン、自給率15%。九州・関東・東海などでは水田の転作・裏作作物として、梅雨のない北海道では畑作を中心に小麦の増産が図られているそうです。
備蓄には無農薬・自然栽培の国産小麦粉を!
国産小麦粉ならばポストハーベストの心配が要りません。無農薬や自然栽培ならば、なおさら安心して食べることができます。
備蓄用の小麦粉は、嗜好品。体に良いもの・体が喜ぶものを少しだけ用意しましょう。
小麦粉を使った料理には欠かせないバターにも、九州産生乳だけを使った商品があります。国産の食品を有難く戴きたいものです。
【関連記事:九州のバター特集!「高千穂」「みどり」「くまモン」「ふくおか県酪」「種子島」の購入先は?】
小麦粉に代わるグルテンフリーの粉もの
健康上の理由で、小麦粉を食べられない場合、限られた備蓄品の中から、さらに限られたものしか食べられないことに。とくに小さなお子さんにがまんをさせるのはふびんです。
そんなときには、グルテンフリーの粉ものを!手に入りやすい米粉・そば粉・片栗粉がおすすめです。
商品によっては小麦粉が入っているものがありますので、購入の際は、必ず原材料を確認しましょう。
守備範囲の広い米粉
どんな料理にも使いやすい米粉には、こんな特徴があります。
・小麦粉より油の吸収率が低いため、揚げ物はサクサクさっぱりした食感
・小麦粉より消化が良く胃もたれしにくい
・粉をふるわずにお菓子作りができる
・米粉パンはこねる手間がいらず発酵時間も短い
米粉を使った料理は実に幅広く、ネットで公開されているレシピも豊富です。見るだけで米粉の万能ぶりが実感できますよ。
米粉の普及に力を注いでいる農水省のサイトにも、レシピの紹介コーナーがあります。お役所とは思えない(失礼)カラフルなデザインで視覚的にもわかりやすいですよ。
農水省「米粉レシピ」おすすめです。
栄養価の高いそば粉
蕎麦アレルギーの方には使えないのですが、栄養価の高い粉ものです。その栄養価の特徴をご紹介します。
・必須アミノ酸のバランスがとれた良質なたんぱく質
・穀物の中では唯一そばだけに含まれるルチン(抗酸化物質))
・豊富なビタミン
・他の穀類よりずば抜けて多いミネラル
そば粉は主にお菓子で大活躍!そばを知り尽くした製粉所のレシピ集が参考になりますよ。餅は餅屋!
「増田そば製粉所さん」のレシピをおすすめします。
つなぎになるのは片栗粉
でんぷんを精製してできた粉が片栗粉。もともとはユリ科の「カタクリ」を使っていましたが、現在ではほとんどがジャガイモのでんぷんです。
限られた食材でやりくりしなければならないとき、便利なのが片栗粉です。ありあわせの物をひとまとめに味つけして一品仕上げたい!そこで片栗粉の登場。
片栗粉を水に溶いて、炒めたり揚げたりした食材にとろ〜り混ぜるだけで一品完成です。かなり濃いめの味付けをしてしまっても調整できます。
あんかけ料理は冷めにくいので、時間がたってもアツアツを味わうことができます。片栗粉は、和菓子の材料・天ぷらのころも・すり身のつなぎにも最適です。
国産の小麦粉やグルテンフリーの粉ものを備蓄しよう
備蓄品で生活する状況になったとき、ほんの少しの嗜好品があれば、食の楽しみを味わうことができます。美味しい小麦粉を、少しだけ嗜好品として備蓄しておきましょう。
国産小麦使用で、無農薬・自然栽培の小麦粉がおすすめです。小麦粉が食べられない場合は、グルテンフリーの米粉・そば粉・片栗粉をおすすめします。
食料不足になったとしても、ないものをほしがるより、あるもので食生活を少しでも豊かにできたらいいなあと思います。
九州産の小麦粉を使った低温発酵食パンはもっちりとして格別の美味しさです。
【関連記事:具を選ぶ食パン?熊本県産ミナミノカオリ低温発酵山型食パン発見!】
小麦粉の保存方法については、下記の記事でご紹介しています。