備蓄には、栄養豊富で長期保存ができる玄米がおすすめです。
少し買ってはみたものの、そのまま台所に置いたままの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大量に備蓄することになったら、どうやって保存すればいいのか、迷いますよね。
こちらの記事では、保管中の玄米を劣化させる3つの原因と、その対策についてご説明します。
保存用のアイテムもあわせてご紹介しますので、お役立てください。
玄米は常温では劣化します!
玄米も白米も、買ってきた袋のまま放置していると、品質は落ちていきます。食べ物ですから当然ですよね。
とくに、栄養豊富な「生きている野菜」玄米には、3つの大敵がいます。
玄米の「呼吸」による劣化
一つ目の敵は、「呼吸」です。
え?玄米って呼吸してるの?そうです、生きているので「呼吸」をしているのですよ。「呼吸」、つまり酵素反応や化学反応をしています。
土にまけば芽が出ます。しかし、備蓄用に保存したい私たち人間にとっては、この「呼吸」が厄介なのです。
玄米は一所懸命?「呼吸」をしますが、土にまかれて土から養分をとれない以上、米の成分を消耗していくばかり。鮮度もどんどん落ちていきます。
しかも、温度や湿度が高くなると、「呼吸」が活発になるので、劣化も進みます。夏場に米が傷みやすいのはこのためです。
玄米にはカビや虫も大敵
生きている玄米のもとには、微生物や虫もやってきます。カビが生えたり、コクゾウムシやメイガが侵入したり。
カビが生えたら食べられませんが、コクゾウムシやメイガがわいたら、天日干しをして精米すれば食べられます。でも…う〜む。目に見えると気持ち悪いですよね、やっぱり。
カビはご存じのとおり、梅雨時からご用心!また、米につく虫たちは、23℃以上になると活発に活動するといわれています。
つまり、カビも虫も、高温多湿が大好きなのです。
玄米は乾燥や臭い移りにも気をつけて
玄米は、野菜や果物と比べて水分量が少ないので、保存向きの食べ物です。湿度は大敵だとばかりに乾燥させすぎてしまうのもよくありません。
乾燥させすぎると、水につけたときひび割れを起こしたり、炊いたとき食味が悪くなったりします。冷凍庫保存はダメですよ。
また、米は臭い移りしやすい食べ物。臭いのきつい食品と一緒に保存したり、使用中の洗剤や香水などがそばにあると、臭いが移ってしまいます。
食べ物の臭いならまだしも、人工的な香料の臭いは食欲を失わせます。私は虫より苦手です。
備蓄する玄米の劣化を防ぐにはどうすればいいの?
玄米の品質が劣化するのを防ぐ保存方法を、ご紹介します。
備蓄は高温多湿を避けて
玄米の保管用の冷蔵庫があります。だいたい温度12℃〜14℃、湿度55〜75%くらいで保管できるようになっていますが、コストも大きさも家庭向きではありません。
家の中で、できるだけ温度や湿度が低く、直射日光が当たらない場所で保管しましょう。温度が低く風通しの良いところであれば、冷蔵庫でなくても劣化は進みにくいのが玄米。
どうしても台所に置いてしまいたくなりますが、水回りはダメです。ただ、台所でも、床下収納庫なら保管庫として使えますよ。
備蓄する容器は密閉できるものを
玄米を備蓄する容器は、密閉できるものを選びましょう。小分けにできるタッパー・ペットボトル・ジッパー付き保存袋は、便利ですね。
また、トタン(鉄板に亜鉛でメッキをほどこした鉄板)で作った米びつは、昔から人気があります。水に強く、遮光性があり、温度や湿度も一定に保ってくれるからです。
備蓄が少量なら冷蔵庫保管
少量の備蓄なら冷蔵庫が一番です。少量の備蓄?そんなにひんぱんに買ったり食べたりを繰り返すということ?
いえいえ、違います。長期保存していた玄米を取り出して、いざ食べようというとき、少量でも保管場所が大事ですよね。そんなときに冷蔵庫がおすすめという意味です。
密封性の高い容器に入れて冷蔵庫に保管し、必要な分だけ取り出して食べましょう。野菜室は、冷蔵庫の中でも比較的湿度が高いので注意が必要です。
大量の備蓄には袋のまま無酸素保存がおすすめ
大量の玄米を備蓄する場合は、冷蔵庫が使えませんので、玄米の「呼吸」を止め、カビや虫を抑える必要があります。真空保存・無酸素保存、ふたつの方法をご説明しましょう。
玄米を真空パックで保存する方法
玄米を真空パックにする際、活躍するのがフードシーラー(真空パック機)です。専用の袋もあるので、手軽に真空パックにすることができます。
布団の圧縮袋と同じですね。玄米を入れた袋の空気を抜いてやることで、玄米は、ピチピチに詰まった状態になります。
しかし、家庭用の真空パック機で、完ぺきな真空パックを作るというのはなかなか難しいことも確か。一般的な業務用は、真空度が強く、繊維の中の酸素まで抜くことができます。
製品の購入コストやメンテナンスまで含めて考えると、最初から真空パックで売られている玄米を買ったほうがいいですね。
玄米を無酸素の状態にする方法
では、具体的な手順と道具を説明します。
玄米を無酸素にする手順
玄米の袋から空気を抜く真空パックに対して、酸素だけ取り除く保存方法があります。酸素がなくなれば、玄米の「呼吸」・カビ・虫・臭い移り問題のすべてが解決!
機械を買う必要はありません。手順もとてもカンタンです。
①玄米を密封できる容器や袋に入れる(購入した玄米を袋のまま入れてもOKです)
②脱酸素剤を入れる
③密封する
玄米を無酸素にするために必要なもの
用意するものは二つ。密封用の容器と脱酸素剤だけです。
密封用の容器は、袋がおすすめ。ポリエチレンの袋ではなく、ガスバリア性(酸素・水分・腐食性ガスの侵入を防ぐ性質)をもつ、ガスバリア袋です。
ガスバリア袋は、たとえば「お米長持ち袋」などといった商品名で、さまざまな種類のものが販売されています。素材によって性能が異なりますので、購入される前に、三菱ガス化学のサイトを参考にされるといいですよ。
脱酸素剤といえばエージレス。三菱ガス化学が製造・販売する脱酸素剤の登録商標なのですが、脱酸素剤の代名詞といってもいいでしょう。入れておくだけで、密閉した袋の中の酸素を吸収し、脱酸素状態(酸素濃度0.1%以下)にしてくれるスグレモノです。
鉄の酸化(酸素と反応してサビること)に着目し、酸素をゼロにして酸化を防ぐという発想は素晴らしいなあと思います。
ガスバリア袋の購入
三菱ガス化学のサイトに紹介されているアルミ袋は、長期保管用です。
透過度はほぼゼロ。完全なガスバリア性を要求されるお客様にお勧めです。
(三菱ガス化学公式サイトより)
数年単位の長期保管・水分に敏感な製品の包装には、ぜひこちらをご使用ください。
三菱ガス化学の、完全なガスバリア性をもつアルミ袋の中で、たとえば350×500(mm)サイズは、5㎏のお米を袋ごと保存するのにちょうどいい大きさです。
Amazonで取り扱いがありますのでご参考になさってください。
〇三菱ガス化学 アルミ袋 350×500備蓄用玄米は賢く保存して美味しく味わいましょう
玄米の保存のしかたが、少しでもおわかりいただけたでしょうか。
・玄米の品質劣化の原因は「呼吸」・「カビや虫」・「乾燥や臭い移り」
・高温多湿は品質劣化を促進
・少量なら冷蔵庫保管
・大量なら無酸素保存
玄米は少しの手間で品質が保持でき、備蓄しながら美味しく食べることができます。健康に良い「無農薬」玄米を、今から少しずつ備蓄しませんか。
【関連記事:「無農薬」・有機栽培・自然栽培の違いは?九州の「無農薬」玄米生産者サイトもご紹介】
米を冷蔵して保存できる保冷米びつもあります。こちらの記事でご紹介しています。
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