備蓄用の食糧として、オールラウンドに活躍してくれる小麦粉。料理にもお菓子作りにも欠かせませんよね。
小麦は世界情勢や気候変動の影響を受ける主要穀物です。食料自給率の低い日本では、小麦粉もほとんど輸入に頼っています。
万一に備えて、日ごろから少しずつ備蓄しておきたいですね。今回は、小麦粉の備蓄はどうすればいいのか、どこで保存すればいいのか、丁寧にご説明します。
保存に便利な容器もご紹介しますので、ご参考になさってください。
未開封の小麦粉は常温保存が基本
小麦粉の大手メーカーである日清製粉さんのサイトにも「小麦粉製品は、適切な条件では、長期間の保管・使用が可能な食品」と明記されています。真夏でも常温で保管できるとのこと。
適切な条件とは何か、具体的に見ていきましょう。
湿気を避ける
小麦は粉もの。湿気は大敵です。できるだけ乾燥した場所を選んで保管しましょう。水回りは避けたほうがいいですね。
直射日光を当てない
常温保存が基本とはいえ、直射日光が当たる、温度の高い場所では劣化が進みます。風通しのよい涼しい場所を選びましょう。コンロの周辺はダメですね。
ダニに注意
小麦粉が大好物のダニ。ダニは生きていても死んでいてもフンでも、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)です。とくにフンは。
袋に入れたままだと、たとえ未開封でも袋をかみ切ってダニは侵入してきます。開封済みであればなおのこと、すき間から入り込み、またたく間に増殖します。
白い粉の中の白いダニ…ああ、想像したくない…
小麦粉の保存は冷蔵庫・冷凍庫ではダメなの?
涼しくて直射日光が当たらない場所といえば、家の中では冷蔵庫・冷凍庫が思い浮かびます。
冷蔵庫のひんぱんな開け閉めは災いの元
小麦粉の冷蔵庫保存を勧めない理由を、日清製粉さんは、丁寧に答えています。結露による固まりやカビの発生、冷蔵庫内のにおい移りの心配があると。
冷蔵庫は利用率が高い家電。開け閉めもひんぱんです。開けっ放しにすることも。そのたびに大量に温かい外気が入り、結露・カビの原因になります。
より安心なのは冷凍庫
では、冷凍庫ならどうでしょうか。冷蔵庫より開け閉めが少なく、温度も低い冷凍庫では、カビも繁殖しにくいはずですよね。
小麦粉は冷凍してもサラサラのままで固まらないので、冷凍庫はなかなか良い保存場所だと思います。私は小麦粉を冷凍庫に保存しています。
九州在住ですので、夏場はどうしても長期間、高温多湿。安心して保存できる場所といえば冷凍庫という選択になります。
ただし、冷蔵庫でも冷凍庫でも、いったん取り出した小麦を使った後、また入れなおすと、室温との温度差で結露ができます。小分けにしてすぐ取り出せるようにしておき、使い切りましょう。
小麦粉の賞味期限はけっこう長い
小麦粉の賞味期限はどれくらいだと思いますか。賞味期限とは、未開封のまま指定された保存法で保存していた場合、品質が変わらずに美味しく食べられる期限。
未開封状態で、強力粉は製造後6か月、薄力粉、中力粉は1年だそうです。これはメーカーが控えめに述べていると思います。
私は、冷凍保存した2年前の小麦粉を美味しく戴いています。冷凍してもサラサラの小麦粉をいつでもすぐに使えるのはありがたいです。
あると便利な小麦粉の保存容器
小麦粉をより長く安全に備蓄するためには、保存のしかたが大事です。たとえ場所の条件が整っていても、どんな容器にどれくらい入れるかによって「運命」が左右されます。
ダニ撃退には真空パックより密閉容器
備蓄でやってはいけないのは、袋のままど〜んと置いておくこと。おすすめは、密封容器に小分けして、必要な分だけ取り出して使い切る方法です。
なぜ、袋がダメなのか。答えは、ダニ!甘く見てはいけません。袋を食い破って入り込みます。
小麦粉に繁殖しやすいコナダニはちいさいですよ〜。画像をお見せしたいのですが、やめておきますね。少しのすき間でもすり抜ける小ささ。
高温多湿の条件が整えば、理論上、10匹のダニが約3ヶ月で1万匹になるそうです。うう〜む、想像したくないですよね。
袋から取り出した小麦粉を加熱し、ダニを退治しても、食べること自体が害になります。袋ではダメなのです。
真空パックならどうでしょう。一見、ダニもすぐに死んで(死骸もダメなのですが)効果がありそうですね。
しかし、驚くべき研究結果があります。「ダニは真空でも生存できた」という金沢医科大学の論文です。
家庭での真空保存は、完璧な真空ではありませんよね。ダニは真空パックの中で生きている可能性が高いと思います。
すぐに食べきるなら、袋で全く問題ありません。ただし、備蓄用に長期保存する場合は、袋以外の保存容器を使いましょう。
密閉容器はガラス・ホーロー製がおすすめ
密閉容器の素材は、臭い移りしないガラス・ホーロー製がおすすめです。袋のまま乾燥剤と一緒に容器に入れるのが便利です。
冷凍保存する場合は、一度に使う分を想定して、小分けの容量を決めましょう。小分け容器をさらに大きな容器に入れると収納もすっきりします。
ガラス製なら「iwaki」
評価の高い耐熱ガラスメーカーiwakiさん。豊富な保存容器の中から2種類ご紹介します。
公式サイトで小麦粉保存容器として推奨されています。おすすめポイントは3つ。
・ふたも本体も透明で中身が確認できる
・ふたのバルブを押すだけで密閉できる
・パッキンを取り外して洗える
〇パック&レンジ7点セット(Yahoo!ショッピング商品一覧)
同社売り上げダントツ1位のロングセラー。同じシリーズでサイズとセット数の異なる商品も揃っています。
・スタッキングといえばコレ
・中身が見える
・ふたをしたまま冷凍できる
ホーロー製なら「野田琺瑯」
日本有数の琺瑯(ほうろう)メーカー「野田琺瑯」さん。美しい琺瑯製品の中からホワイトシリーズをご紹介します。
〇野田琺瑯ホワイトシリーズ(Yahoo!ショッピング商品一覧)
単なるストッカーではない美しい容器です。
・臭いや汚れが付きにくい
・手入れがラク
・そのまま冷凍できる
iwakiさんのガラス容器も野田琺瑯さんのホワイトシリーズも、どちらも調理可能な容器。
ホワイトシリーズは直火にかけることもできます。
小麦粉を保存するだけではなく、調理・器としても使える優れた製品です。このほかにも無印良品・ニトリをはじめ、100円ショップでも便利な保存容器が販売されています。
Twitter(X)で紹介されている保存容器
小麦粉は正しく管理して美味しく戴きましょう
備蓄用の小麦粉は常温保存が基本です。高温多湿を避け、ダニが侵入してこないように密閉容器で保管しましょう。
長期にわたって保存する場合は、ダニ・カビが繁殖しにくい冷凍庫が安心。使う分だけ取り出せるように小分けにしておくと便利です。
密閉容器は、臭い移りしないガラス・ホーロー製品がおすすめ。使い勝手の良さを考えて選ぶといいですね。
食生活に彩りを添えてくれる小麦粉を保存して、いざというときでも美味しく戴きましょう。
備蓄におすすめの「無農薬」・化学肥料不使用の小麦粉について、下記の別記事でご紹介しています。
【関連記事:備蓄用小麦粉に加えたい「無農薬」・化学肥料不使用の小麦粉】
また、小麦粉の保存に最適な冷凍庫もあります。