蜂蜜は梅干に似ています。
どちらも長期にわたって保存でき、健康に良いというイメージがありますよね。
私は宮崎産の日本蜜蜂の蜂蜜を備蓄しています。
甘党ではありませんので(辛党です!)、ホットケーキに蜂蜜という組み合わせに心は躍りません。
それでも、昔から蜂蜜は常備品。理由はただ一つ、「蜂蜜は効能が実証済みの伝統食」だからです。
こちらの記事では、伝統食としての蜂蜜の効能・日本ミツバチの蜂蜜を選ぶ理由・宮崎産のハチミツの魅力をお伝えします。
蜂蜜は効能が実証済みの伝統食
蜂蜜は洋の東西を問わず、蜂蜜は生活の中に取り入れられてきた伝統食です。
「はちみつの歴史は人類の歴史」といわれるほど、人間は蜂蜜の恩恵を受けてきました。
科学的なデータは知らなくても、おばあちゃんの知恵袋的な蜂蜜の使い方を私たちは知っています。
私はといえば、蜂蜜の健康効果について目を向けるようになったのはガンになったときです。
きっかけをくれたのは正確には蜂蜜ではなく、プロポリス(Propolis)でした。
プロポリス(Propolis)とは、セイヨウミツバチが木の芽や樹液・樹皮・花粉などとハチ自身の分泌物を混ぜて作る物質です。
「天然の抗生物質」とも呼ばれ健康食品として脚光を浴びているプロポリスを、抗ガン作用があるよと勧めてくださった方がいました。
また、お見舞にと複数の方から高価なプロポリスを戴き、今でもたいへん感謝しています。
プロポリスの抗がん作用については、正直に申し上げて私にはわかりません。
ただ、プロポリスの抗腫瘍作用については動物実験で証明され、現在でも数多くの研究がなされています。
【参考:プロポリスのがん予防効果:炎症や酸化的ストレスの抑制】
プロポリスがきっかけとなり、ミツバチが集めてくる蜜、ハチミツにも健康に良い何かがあるはずだと思うようになりました。
子どものころ、小学校の花壇や菜の花畑に集まってくる日本ミツバチを捕まえて遊んでいたときには想像もつかなかった蜂蜜の底力。
蜂蜜はコクがあるのに低カロリー
蜂蜜の甘みは上白糖(白砂糖)に比べてコクがあります。
蜂蜜にはいろいろな種類の有機酸(有機化合物の酸のこと)が含まれています。
最も多いのがグルコン酸で、他にもクエン酸・リンゴ酸など十種類以上にのぼるそうです。
蜂蜜は甘味の中にも酸味をもっているのですね。
また蜂蜜も上白糖も主な成分は糖分ですが、その種類が異なります。
糖の種類 | ||
蜂蜜の主な糖分 | ブドウ糖(グルコース)・果糖(フルクトース) | 単糖類 |
上白糖の主な成分 | ショ糖(スクロース) | 二糖類 |
フルクトースは糖類の中で最も甘みが強い糖です。
蜂蜜はフルクトースの含有量が高いので強い甘みを感じます。
しかも100g当たりのカロリーは蜂蜜が329kcal、上白糖が391kcalです。【八訂より】
蜂蜜は胃腸にやさしいエネルギー源
蜂蜜の主な糖分は単糖類ですので、消化吸収されやすく胃腸に負担をかけません。
多糖類が最小単位まで分解されたものを単糖類、最小単位の単糖類が2つくっついたものを二糖類といいます。
単糖類はもうこれ以上分解できない糖類。
蜂蜜は、すぐにエネルギーになるため、体力が落ち、食欲もないときの栄養補給にうってつけのたべものです。
しかも栄養豊富です。昔から疲労回復や病中・病後の体力回復に重宝されてきたのには理由がありますね。
蜂蜜は乳幼児には注意!
ただし乳幼児に対しては注意が必要です。
厚労省も、蜂蜜は「乳児ボツリヌス症予防のため満1歳までは使わない」ように注意喚起をうながしています。
ボツリヌス菌は広く自然界に存在している菌ですので、蜂蜜に混入することがあります。
その場合、腸内環境の整っていない乳幼児には毒素を作ってしまうリスクも。
自然の中で自然の生き物が集める自然の食べ物である以上、注意は必要です。
蜂蜜は腐りにくいのど飴
蜂蜜は「のど飴」として最適です。のどがイガイガするとき、のどの乾燥や腫れを感じたとき、蜂蜜をお湯に溶かしてゆっくり飲むと気持ちがいいですよね。
蜂蜜の糖分濃度は70〜80%で、蜂蜜の中には糖がもうこれ以上溶けないというところまで溶けています。
つまり、糖分の濃度が高いため細菌や微生物が繁殖できない環境です。
(ボツリヌス菌は独特の細菌で、熱に強い芽胞というカプセルに守られています。)
さらに蜂蜜に含まれている酸の影響でpHが低いため細菌が生存できません。
pH3.8ぐらいの酸性ですので、レモンよりずっと酸が強い!
蜂蜜に含まれる有機酸と過酸化水素の強い殺菌力が、呼吸器系細菌の増殖を抑えるといわれています。
そもそも蜂蜜は腐るのか?
瓶詰のしかたが悪かったり開封したりすれば雑菌が入り込んで腐りますが、なかなか腐った蜂蜜を見る機会はありません。
商品として売られている蜂蜜には一応2〜3年の賞味期限が設けられていますが、あくまでも控えめな数字かと。
備蓄に最適な「のど飴」です。
なぜ選ぶ?日本ミツバチの蜂蜜の特徴
日本ミツバチの蜂蜜を選ぶ理由は二つあります。
一つ目は日本ミツバチが集める蜂蜜はさまざまな蜜源からとる、いわゆる百花蜜とよばれる蜜であること。
二つ目は日本ミツバチが日本古来のミツバチでありながら、近年九州ではその数を急激に減らしたからです。
日本ミツバチの蜂蜜は百花蜜
日本ミツバチと西洋ミツバチの主な違いを分かりやすくまとめてみます。
日本ミツバチ | 西洋ミツバチ | |
歴史 | 古来から住みついている日本在来種 | 明治時代に養蜂のため海外から導入 |
生態 | 野生 巣が気に入らなければ自由に移動する | ほとんど野生化せず養蜂用の巣に定住する |
外敵 | スズメバチを撃退できるため人間の助けは要らない | スズメバチを撃退できないため人間に守ってもらう必要がある |
性質 | 西洋ミツバチよりおとなしくて病気に強く飼育しやすい | 日本ミツバチより攻撃的で病気にかかりやすい |
採蜜 | 一度に集める量が少なく蜜がとれるのは年に一回程度 | 蜜の量が多く一年に何度でも蜜をとることができる |
世界各地でも日本でも養蜂されているのは西洋ミツバチがほとんどだそうです。
採蜜の効率が良く、巣から逃げることもない西洋ミツバチは管理さえうまくできれば養蜂に適していますよね。
養蜂家は狙った花の近くに巣箱を置いて、たとえばアカシア蜜・レンゲ蜜というように特定の花の蜜を集めさせることができます。
また、一度に集めてくる蜜の量が多いので、その季節に応じた花の蜜をとることができるのも西洋ミツバチの特徴です。
それに対して一年を通じて少しずつ蜜を集める日本ミツバチの蜂蜜は、単一ではありません。百花蜜といわれるゆえんです。
いろいろな花の蜜がまじっている日本ミツバチの蜜は味わいが深く、このハチミツはどんな味がするのかなという楽しみがあります。
日本ミツバチの蜂蜜は希少
日本ミツバチの蜂蜜はなかなか手に入りません。
市販されているのは、ほとんど西洋ミツバチの蜂蜜です。
需要があれば少しずつでも供給が生じると思い、蜂蜜を買うときは必ず日本ミツバチの蜂蜜を買うようにしています。
養蜂する際、巣箱にうまく入ったとしても、その巣箱が気に入らなくなるとすぐに逃げてしまうのが養蜂家泣かせの日本ミツバチ。
九州でも日本ミツバチの群れが突然消えて話題を集めたことがあります。
日本列島に住み続けた種だからこそ、変化に敏感なのでしょう。
現在は、都会でも趣味で日本ミツバチを買う方が増えているとのこと。
日本ミツバチを守る動きが広がるといいですね。
宮崎の日本ミツバチが集めた蜂蜜の魅力
備蓄しているのは宮崎の日本ミツバチの蜂蜜です。
宮崎の九州山地の奥深く手つかずの自然の中を飛び回る日本ミツバチの姿を想像すると、ロマンがあります。しかも美味しい!
宮崎の奥深い山中を飛ぶ日本ミツバチ
九州山地は平家の落人伝説の中心地です。
ここまで逃げてくれば追っ手も来ないだろうと思わせる秘境が点在しています。
九州の山、宮崎の山だから穏やかな山容だと思われがちですが、山は険しく谷は深く、原生林・照葉樹林に覆われています。
人が足を踏み入れない森の中の蜜、環境汚染の可能性が低い蜜が日本ミツバチのお陰で手に入るのです。
結晶化したクリーミーな蜂蜜に出会える
私が日本ミツバチの蜂蜜に初めて出会ったのは道の駅高千穂です。
地元の特産品が並ぶ店内の一隅に瓶詰の蜂蜜がずらりと並んでいました。
そのなかで目を引いたのがクリーム色に結晶化した蜂蜜。
物珍しさも手伝って買い求め、早速味わって二度びっくり。
ただ結晶化しただけのザラザラした味わいではなく、実にクリーミー!
結晶化した粒子が細やかになるかどうかは花の蜜次第だそうです。
どんな花の蜜だったのか担当者(日本ミツバチ)に聞かないと詳しいことはわかりません。
クリーミーな蜂蜜を求めて最初から結晶化している蜂蜜を選ぶようになりました。
開けてみなければクリーミーなのかザラザラなのかわからないのも楽しいです。
宮崎は高千穂・椎葉の蜂蜜が有名
宮崎で日本ミツバチの蜂蜜といえば、高千穂・椎葉が有名です。
ともに九州山地の自然豊かな土地。
高千穂は神話の里であり、椎葉は平家の落人の里です。
養蜂の神様のような方もいらっしゃいます。
高千穂の蜂蜜は、先ほどご紹介した道の駅高千穂で購入することができます。
また椎葉の蜂蜜といえば「椎葉の秘蜜」!ネーミングが秀逸ですね。
「椎葉の秘蜜」は椎葉村の公式サイト・観光協会さんの公式サイトで紹介されています。どうぞご覧になってください。
椎葉村のふるさと納税の返礼品として受け取ることもできます。
蜂蜜の効能を健康維持に役立てよう
蜂蜜は古くから健康維持に役立つとして日々の暮らしに重宝されてきた伝統食です。
・栄養豊富な成分
・殺菌効果が高く保存性に富む
・甘味が強いが砂糖より低カロリー
・吸収されやすいエネルギー源
・のど飴としても最適
・乳幼児には与えない
養蜂の主流は育てやすく採蜜量の多い西洋ミツバチですが、日本ミツバチには独特の味わいがあります。
とくに九州山地の山奥にすむ日本ミツバチの蜂蜜は、清らかな自然の森で集められた希少な蜂蜜です。
宮崎県の高千穂・椎葉の蜂蜜をどうぞご賞味ください。保存食として手元に置いておけば、体調がすぐれないときの栄養補給にも役立ちます。
同じくスーパーフードと呼ばれているニンニクの効能や九州産「無農薬」ニンニクについても別記事でご紹介していますので、ご参考になさってください。
【関連記事:疫学調査が物語るにんにくの驚くべき効能!九州産「無農薬」にんにくもあります】
[参考文献]
「蜂蜜の特性 とその利用」(玉川大学農学部 越後多嘉志氏)
「ハチミツの成分特性」(石川県立大学生物資源環境学部食品科学科 榎本俊樹氏)